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足踏み式油圧リフトと苗ローラーを用いた水稲乳苗育苗箱省力運搬法


[要約]
水稲乳苗移植栽培において、足踏み式油圧リフトを導入したトラックへの運搬棚積載手法と、苗ローラーを導入した畦畔への苗箱移動手法により、育苗箱運搬作業の労働負担軽減と省力化を図ることができる。
宮城県農業センター・営農機械部・作業機械科
[連絡先] 022-383-8127
[部会名] 作業技術
[専門]  機械
[対象]  稲類
[分類]  普及

[背景・ねらい]
水稲移植栽培において苗箱運搬は一輪車や中腰での持ち運びが主になっており、規模拡大するほど作業者の労働負担は高まる傾向がある。そこで、苗箱運搬用補助具の改良開発を行い、人力作業の省力化を図る。

[成果の内容・特徴]
育苗箱積載時は苗箱の入っている育苗兼運搬棚を、足踏み式油圧リフトで持ち上げ、トラック等の運搬車に積載し、育苗箱荷降ろし時は運搬車に積載している苗箱を苗ローラーに乗せ、畦畔や田植え機に省力的に移動させることにより、作業時間の短縮と労力の軽減を実現するものである。
  1. 器具類の導入と改良
    1. 育苗兼運搬棚としてトラックで運搬可能な棚を導入する(例:図1、H-90、96箱収納。
    2. 育苗施設から運搬車に運搬棚を積載するために比較的安価な足踏み式油圧リフトを導入する(例:図1、パワーリフター PL-H1000、最大積載重量1,000kg)。
    3. 足踏み式油圧リフトには移動用の前脚がついているため、専用のパレットが必要(例:図1)
    4. トラックに積んだ運搬棚から苗を畦畔や田植機に省力的に降ろす手段として苗ローラーを導入する(例:図2、ナエローラー、長さ1.8m、重量9.1kg)。
    5. 2本接続した苗ローラーを宙づりにした状態で苗箱移動作業ができるように、苗ローラーの先端と運搬棚の上方をチェーンで固定し(固定位置は簡単に変更できるようにする)、更に運搬棚が倒れないように運搬棚とトラック側面をチェーン等で固定する(例:図2)
    6. 苗ローラーの先端には苗箱が落下しないように、ストッパーを取り付ける(例:図3)
  2. 作業性の特徴
    1. 乳苗を育苗棚で育苗する場合には、パイプハウスへの苗移動・箱設置が不要となり、苗移動に要する作業時間は慣行方法より短縮される。また、田植え時にトラックに苗箱を積載するときに、足踏み式油圧リフトを利用することにより、個々の苗箱運搬作業が不要となり、作業時間は慣行方法より短縮される(例:表1)
    2. トラックに積載した苗運搬棚から苗箱を畦畔に移動する際、人力による苗箱運搬作業が軽減され、作業時間は慣行方法より短縮される(例:表1)

[成果の活用面・留意点]
  1. 苗ローラーの苗箱降下角度を9〜12゜にすると苗箱が円滑に流れる。
  2. 足踏み式油圧リフトは車輪が直径70mmと小さいので、通路等に段差があると移動困難になるので、スロープ等をつける必要がある。

[その他]
研究課題名:水稲育苗・畦畔管理の省力化試験
予算区分 :県単
研究期間 :平成5〜7年
発表論文等:なし