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再生紙マルチ栽培による水田雑草防除技術と水稲の生育


[要約]
再生紙を田面に敷き詰めながら移植を行う再生紙マルチ栽培により 水田雑草防除が可能である。水稲の生育量が確保しにくく、低収量となりやすいが、 充実苗の使用、密植によりその欠点が改善される。
山形県立農業試験場 置賜分場
[連絡先] 0238-47-2115
[部会名] 水稲
[専門]  栽培
[対象]  稲類
[分類]  指導

[背景・ねらい]
水稲の無農薬栽培では雑草防除が大きな技術的課題となっているので、 効率的な防除技術の開発を目指す。

[成果の内容・特徴]
  1. 再生紙を専用田植機(M社製)により 田面に敷き詰めながら移植を行う再生紙マルチ水稲栽培を行うことにより、 雑草防除作業を省力化することができる。
    雑草抑制効果は高く、持続期間は再生紙が溶解する移植後約50日間である。
  2. 再生紙をマルチした場合、地温が上昇しにくいため、水稲の生育量が少なく推移し、 収量は慣行栽培よりやや低収となる。また、出穂期、成熟期は2〜7日遅れる。
  3. 水稲の初期生育を確保し、収量の向上を図る技術は次のとおりである。
    1. より充実した苗を用いることにより
      ア. 初期から生育量が確保しやすい。
      イ. 出穂期及び成熟期の遅れをより小さくすることができる。
      ウ. 平方メートル当たりもみ数がより多く確保されるため、 比較的高い収量が期待できる。
    2. 慣行の20%程度の密植により、穂数が確保し易くなり、収量増に結びつく。
    (具体的データ)

[成果の活用面・留意点]
  1. 初期生育が確保しにくい地域では再生紙マルチ栽培の導入は避ける。
  2. 移植する際は、再生紙が田面に密着するよう留意する。
  3. 再生紙を敷き詰めるので補植が行えない。 欠株が発生しないように機械の調整や移植速度などに十分留意する。
  4. 紙の合わせ目に隙間ができたり、合わせ目から土が紙に乗り上がったりすると、 雑草が発生するので作業機の操作に注意する。
  5. 再生紙のコストは、10a当たり18,000円程度である。

[その他]
研究課題名:水稲無農薬・無化学肥料栽培における雑草防除技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :平成8年(平成6年〜平成10年)
発表論文等:水稲の無農薬栽培における雑草防除技術の開発
      第2報 再生紙マルチによる水田雑草防除
      東北農業研究第48号 59-60. 1995