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カントリーエレベータの稼働率向上対策
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[要約]
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稼働率の高い宮城県K町カントリーエレベータ(CE)を調査したところ、
刈取作業の受委託調整、施策的作業料金の設定、米の販売戦略、複合部門の推進など、
CEの稼働率を向上させるための各種の仕組みづくりがされていた。
宮城県農業センター・営農機械部・経営生活科
[連絡先]022-383-8127
[部会名]経営
[専門] 経営
[対象]
[分類] 指導
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[背景・ねらい]
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農業の担い手育成と水稲の低コスト生産のために
各地にカントリーエレベータが積極的に導入されているが、
その稼働率は極めて低く、当初の目的を達成していないところが多い。
そこで、目標の稼働率を達成している宮城県K町カントリーエレベータと
その利用者を対象に、稼働率向上のための要因を調査した。
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[成果の内容・特徴]
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CE利用者組織である「カントリー利用組合」が刈取作業の受委託調整機能をもち、
委託のあった刈取作業を担い手で構成する「受託部会」に再委託し、
その乾燥調製はCEを利用する仕組みを作っている。
この結果、受託者は労せず刈取作業量の拡大と作業の面的集積を図ることができ、
また、CEは処理量を増やすことができる
(図1)。
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刈取作業の受委託を積極的に誘導するため、
刈取料金は県平均よりかなり低く設定されている
(図2)。
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平成6年のCE稼働率は対面積比で107%に達し(図2)、
CE利用者も314名になっているものの、実際にCEへ運搬・搬入した内訳は、
搬入量全体の40%がCEからの受委託調整分、31%が受託者本人の経営分であり、
全体の7割以上が担い手とされる受託者に集中している
(図3)。
この結果、荷受の調整は受託部会内での調整だけで十分対応することができる。
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CE利用を推進する対策として、荷受の集中緩和対策、
低品質米・対象外品種処理のためのミニライスセンターとの提携、
有機米の一括CE利用による有利販売など各種の対策が積極的に施されている
(表1)。
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CE導入と同時に行政・農協による積極的な園芸振興が行われ、
その結果、水稲の経営規模が大きい層でも
複合部門拡大を理由にCEを利用する農家が出現している
(表2)。
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CEを利用した理由には、経営規模に関係なく
「乾燥調製作業の低コスト化」を理由に上げている農家は少なく、
むしろ「効率的な作業」を行うためと答えた農家が多い
(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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CE利用推進のための仕組みづくりに参考になる。
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CE利用を推進するには、「乾燥調製作業の低コスト化」を主体とした啓蒙ではなく、
「効率性」などの誘導や施策が大切である。
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調査対象者はCE利用者であり、参考に当たっては注意が必要である。
[その他]
研究課題名:大規模乾燥調製施設導入地域の農業生産体制
予算区分 :県単
研究期間 :平成8年度(平成5年〜8年)
発表論文等:なし