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マルメロごま色斑点病の発生と防除法の検討


[要約]
マルメロごま色斑点病に対してTPNフロアブル1000倍 及びジラム・チウラム水和剤600倍の防除効果が高かった。 本病は5月中旬から秋期まで発生をくり返すが、開花直前から9月上旬頃まで 本剤を15〜20日間隔で散布することにより防除が可能であった。
秋田県果樹試験場・鹿角分場
[連絡先] 0186-25-3231
[部会名] 果樹
[専門]  作物病害
[対象]  果樹類
[分類]  研究

[背景・ねらい]
マルメロごま色斑点病は、1987年に秋田県のマルメロ主要産地である森吉町や 鹿角市で、初発が確認された後、現在ではマルメロ栽培園全域に拡大し、 マルメロの重要病害のひとつになっている。
本病は東北地方における発生生態が不明であるのに加え、 防除法が確立されていないため、効果の高い防除剤の検索と防除法について検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. ごま色斑点病葉上病斑は、5月中旬に初発生後6月上旬から中旬に急増し、 その後秋期まで二次感染をくり返した(図1)
  2. 防除効果の高い薬剤はTPNフロアブル1000倍であり、 次いでジラム・チウラム水和剤600倍であった (表1)
  3. 6月末までの一次感染期における重点防除期は5月中〜下旬であり、 最終散布時期は9月上旬頃と考えられた(表2)
  4. TPN剤を主体に開花直前から8月末〜9月上旬頃まで約20日間隔で散布することにより、 本病を防除することができた(表3、表4)

[成果の活用面・留意点]
  1. 開花直前から7月上旬まではごま色斑点病及び黒点病の重点感染期であるので、 この期間降雨が多いときは散布間隔を短縮する。
  2. 有袋栽培を行う場合は、TPN剤を散布した後に被袋する。
  3. 現在、本病に対する登録薬剤がないので、当該薬剤が農薬登録された後に普及に移す。

[その他]
研究課題名:特産果樹の栽培法改善試験
      ごま色斑点病の生態解明と防除法
予算区分 :県単
研究期間 :平成8年度(平成元年〜5年、平成6年〜10年)
発表論文等:マルメロごま色斑点病の発生経過と防除、北日本病害虫研究会報、
      第47号、1996。