研究所トップ≫研究成果情報≫平成8年度
牛尿の成分簡易推定法
-
[要約]
-
畜舎の尿溜に貯留している生尿の肥料成分は、カリ及び窒素含有率が高く、
これら成分は牛尿中の電気電導度値(EC)と極めて相関が高い。したがって、
電気電導度値を測定することにより簡易に窒素及びカリ成分を推定でき、
牛尿を適正に利用することができる。
青森県畜産試験場・草地飼料部
[連絡先] 0175-64-2231
[部会名] 畜産(草地)
[専門] 肥料
[対象] 牧草類、雑穀類
[分類] 指導
-
[背景・ねらい]
-
畜産農家で生産される牛尿はその性状により自己所有圃場において、
処理・利用せざるを得ない現状にある。
家畜ふん尿を草地・飼料畑に施用する場合には
収量及び品質に及ぼす影響を考慮した施用量及び化学肥料併用量の設定が必要となる。
しかし、牛尿では実用上は成分組成が明確でないことから、
必らずしも有効かつ適正に利用されていない状況にある。
そこで、草地・飼料畑において牛尿を適正に施用するため、
牛尿の肥料成分組成を明らかにするとともに、
これら成分を簡単に推定する方法について検討した。
-
[成果の内容・特徴]
-
牛尿中の電気伝導値(EC)を測定することにより、
牛尿中の窒素及びカリ成分を簡易に推定でき適正な牛尿施用が図られる。
-
牛尿成分の平均値は肥料成分ではK成分が最も多く、次いでN成分である。
また、NとK2Oとの成分割合は従来から言われている比率と一致する。
その他の成分については、いずれも極めて低い水準にあり、
化学肥料の節減の対象にはなり得ない
(表1)。
-
牛尿の成分組成は、pHを除く各成分とも標準偏差値が大きく、
農家によってその成分組成が大きく異なる
(表1)。
-
成分間における単相関をみると、0.9以上の高い相関係数を示す成分は、
ECとN、ECとK及びNとKである
(表2)。
EC(mS)とN(%)及びK(%)について関係式を求めると、
前者はN=0.0002EC2+0.0014EC+0.0272
(図1)、
後者はK=0.011EC+0.0429(図2)
で表すことができ、ECを測定することにより容易にこれら成分が推定できる。
-
[成果の活用面・留意点]
-
草地に対する追肥及び飼料作物の基肥として有効に牛尿を活用できる。
-
糞の混入度が大きい牛尿は出来るだけ液状部分から採取し、
EC測定は採取後速やかに行う。
[その他]
研究課題名:牛ふん尿活用による飼料作物の低コスト生産技術
予算区分 :県単
研究期間 :平成8〜12年
発表論文等:なし