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秋期におけるリンゴ葉の褐斑病に対する罹病性とその品種間差異
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[要約]
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いずれのリンゴ品種も若い葉は褐斑病に罹病性を示すが、成葉や果そう葉は、
早生品種の場合、収穫期の9月上旬頃にかかりやすくなり、
ついで中生品種、晩生品種の順に罹病性を示す。
晩生品種は、多発年の場合、早い時期から罹病性が高まり被害を受けやすくなる。
岩手県農業研究センター農産部応用生物工学研究室
[連絡先] 0197-68-4414
[部会名] 果樹
[専門] 作物病害
[対象] 果樹類
[分類] 指導
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[背景・ねらい]
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近年、リンゴでは褐斑病がしばしば夏期から秋期において
黄変落葉を引き起こしている。発生量は年次によって大きく変動するが、
その原因は明らかになっていない。そこで、まん延期の9〜10月において、
主要品種に褐斑病菌の分生子を接種し、罹病性の品種間差異を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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いずれのりんご主要品種も若い葉は罹病性が高いが、
成長するにつれ罹病性が低下し、成葉になると抵抗的になる。
しかし、老化が進むと再び罹病性が高まる(図1)。
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成葉、果そう葉の中でも日陰になりやすい葉や淡黄緑色の徒長枝葉は
早期からかかりやすく、また、ハダニの被害葉も感染しやすい
(表1)。
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抵抗性を示していた果そう葉や成葉は、
早生品種(「さんさ」、「つがる」等)の場合、収穫期の9月上旬頃に、
続いて中生品種(「ジョナゴールド」、「スターキング」等)
がかかりやすくなった。晩生品種の「ふじ」はもっとも遅く罹病性が高まった
(表2)。
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多発年の1998年は、晩生品種の「ふじ」も9月中旬から
急速に罹病性が高まったのに対して、少発年の1999年は10月中旬まで抵抗的であった
(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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褐斑病の発生生態の解明と防除対策の確立や現地で指導する上で
基礎的な知見として活用できる。
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晩生品種は、秋期における罹病性の高まる時期が遅いが、
多発年では早期から発生して黄変落葉や果実感染の被害を受けやすくなるので、
防除対策がもっとも必要である。
[その他]
研究課題名:耐病性関連遺伝子導入りんごの耐病性評価
予算区分 :県単
研究期間 :平成11年度(平成9〜11年)
発表論文等:北日本病害虫研究会報50 (85-91) 1999