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岩手県における青豆新品種「東北141号」の採用


[要約]

 青豆「東北141号」は子葉色(緑色)が市販品種より明らかに濃く、緑色の特徴ある豆腐製品に仕上がる。成熟期は「スズカリ」並で岩手県内でも広く栽培でき、機械収穫適性も高い。

[キーワード]

だいず、青豆、広域適応性

[担当]岩手農研・園芸畑作部・野菜畑作研究室、岩手農研・県北農業研究所・やませ利用研究室
[連絡先]0197-68-4418
[区分]東北農業・畑作物
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]

 実需者側より良質で、特徴ある原料の供給が求められており、従来の黒豆や青豆を契約栽培して特産化を図る例も増えている。このうち青豆では、主にえだまめ用市販品種を利用しているが、熟期や耐倒伏性等に難があり安定生産に苦慮している。
 東北農業研究センターで育成された「東北141号」は市販品種に比べ、明らかに栽培しやすく、収量も安定する。また、子葉色・種皮色ともに濃く、緑色の強い豆腐に仕上がるなど品質的にも特徴を備えており、特産大豆として加工業者からの評価も高い。

[成果の内容・特徴]

1.

「東北141号」は平成2年に東北農業試験場において、子葉と種皮が緑色で機械化適性に優れただいず品種の育成を目標に、核遺伝子支配で子葉が緑、種皮が濃褐色の「赤青D165」を母に、倒伏抵抗性強の「タチユタカ」を父に人工交配を行い、以後選抜・固定を図ったものである。

2.

開花期は「スズカリ」より3〜4日遅く、成熟期は「スズカリ」並で、市販の青豆(「岩手みどり」「秘伝」;以下品種名略)より20日程度早い。

3.

主茎長は市販の青豆より短いが、「スズカリ」より長く、「ナンブシロメ」並である。

4.

倒伏程度は「中」で「スズカリ」並であるが、最下着莢位置は高く機械収穫適性に優れる。

5.

収量は市販の青豆より明らかに多い。

6.

百粒重は市販の青豆及び「スズカリ」より小さく、「ナンブシロメ」より大きい。

7.

子葉・種皮色ともに緑色で、子葉色は市販の青豆より濃い。外観品質は市販の青豆並からやや優る(以上の2〜7は表1)。

8.

ダイズモザイクウイルス(SMV)に対しC、Dレースに抵抗性(育成地判定)であり、A、Bレース抵抗性を有する「スズカリ」「ナンブシロメ」より褐斑粒は発生しやすい(表2)。

9.

豆乳及び豆腐の緑色は市販の青豆より明らかに濃い。

10.

「スズカリ」「ナンブシロメ」より、適正凝固剤濃度が低めで、適正幅は市販の青豆同様狭い傾向があるが、豆腐としての物性や官能評価に問題はない(以上の9〜10は表3)。

[成果の活用面・留意点]

1.

栽培法は「スズカリ」に準ずる。なお、品質・収量面から、県南地域における播種時期は「スズカリ」播種適期内での晩播を目安とする(表2)。

2.

SMVには万全の抵抗性を有していないので、種子更新により無病種子を使用するとともに、播種時及び生育初期より計画的にアブラムシ類を防除する。また、シストセンチュウに抵抗性を有しないので汚染圃場での作付を避けるとともに連作も避ける。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

大豆の奨励品種決定調査

予算区分:

県単

研究期間:

1998〜2001年度

研究担当者:

沼田聡、高橋智宏、寺田道一、長谷川聡、児玉淑子


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