研究所トップ研究成果情報平成13年度

雑穀類(ひえ・あわ・きび・アマランサス)の種子貯蔵年限


[要約]

 ひえは低温貯蔵(5、15℃)で5年は実用的な発芽率(80%)を維持できる。
 あわは低温貯蔵(5、15℃)で3〜4年は貯蔵可能だが、他の雑穀類種子に比べ発芽率が低下しやすい。きびは室温(冷暗所)・低温貯蔵とも4年、アマランサスは室温・低温貯蔵とも5年は実用的な発芽率(80%)を維持できる。

[キーワード]

雑穀類種子、貯蔵年限、発芽率

[担当]岩手農研・県北農業研究所・やませ利用研究室
[連絡先]0195-47-1074
[区分]東北農業・畑作物
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

 雑穀は近年の健康食ブーム等から見直され、岩手県中北部ではひえの水田移植栽培が増加しているが、雑穀類は採種体制が十分ではないため、自家採種されている。
 今回、雑穀類種子の貯蔵年限に関して知見を得たので、種子利用上の参考に供する。

[成果の内容・特徴]

1.

雑穀類種子(ひえ・あわ・きび・アマランサス)について実用的な発芽率(80%)を維持できる貯蔵年限は以下の通りである(図1)。
ひえ:

低温貯蔵(5、15℃)で5年。室温貯蔵(冷暗所)では発芽率の低下が大きい場合がある。また、達磨(晩生系統)は軽米在来(白)(早生系統)に比べて発芽率がやや低い。

あわ:

室温貯蔵(冷暗所)で2年、低温貯蔵(5、15℃)で3〜4年。あわは他の雑穀類と比べ発芽率が低下しやすい。

きび:

室温貯蔵(冷暗所)、低温貯蔵(5、15℃)とも4年。貯蔵温度に関わらず比較的発芽力が安定している。

アマランサス:

室温貯蔵(冷暗所)、低温貯蔵(5、15℃)とも5年。貯蔵温度に関わらず比較的発芽力が安定している。

[成果の活用面・留意点]

1.

貯蔵年限は本試験で確認できた年数であり、実用的な発芽率(80%)を維持できる限界の年数を示したものではない。

2.

雑穀類種子を長期保存する場合は冷蔵庫等を利用する。

3.

長期貯蔵種子は発芽率を確認してから播種する。

4.

雑穀類種子は風選(とうみ選)等により充実したものを使う。

[具体的データ]

1.

本試験で用いた種子の来歴、調査方法等は下記のとおり。
1)採種年度:

平成6〜8年(旧岩手農試 県北分場産)
平成9〜12年(県北農業研究所産)

2)採種条件:

成熟期に達した健全穂を採穂し、1か月程度架干した後、脱穀・風選し紙袋(一部、ビニール袋)に封入して貯蔵した。貯蔵時の平均穀粒水分は、ひえ13.4%、あわ12.7%、きび12.9%。

3)貯蔵条件:

下記の条件で貯蔵した。なお、各条件とも湿度管理は行っていない。
ア.室温貯蔵:収納舎内の種子保管庫(暗室)
イ.低温貯蔵:5℃(サンプル保管用冷蔵庫、サンヨーMDF135)
ウ.低温貯蔵:15℃(玄米低温貯蔵庫、静岡精機(株)GB3000K)

4)調査方法:

試験温度(30℃)、発芽床(ろ紙)、粒数(100粒)、発芽率締切(7日)、3反復とし、根及び芽の両方が抽出したものを発芽粒とした。
なお、各種子とも採種時の発芽率は未調査。

[その他]
研究課題名:

普通作物等の多収良質品種の育成

予算区分:

県単

研究期間:

2001年度

研究担当者:

長谷川 聡


成果情報に戻る部会別Indexに戻る