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水田輪作の安定化に向けた大麦−大豆の立毛間播種栽培技術


[要約]

 大麦−大豆の輪作体系は立毛間播種栽培により作期競合が解消し適期播種が可能となるため、収量の向上が図られ安定栽培が可能となる。また、立毛間播種栽培では雑草対策、生育・収量面から中耕作業が重要である。

[キーワード]

立毛間播種、水田輪作、大豆、麦類、中耕

[担当]宮城古川農試・水田輪作プロジェクトチーム
[連絡先]0229-26-5106
[区分]東北農業・畑作物
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]

 寒冷地域における麦−大豆の輪作体系ではそれぞれの作期が競合するため、播種は前作物の収穫後となり適期播種が行えない。そのため、麦では生育量不足や出穂遅延、大豆では梅雨による播種作業遅延や出芽不良が低収及び品質低下の要因となっており、麦−大豆体系を安定的に可能にする切替技術の確立が望まれている。

[成果の内容・特徴]

1.

立毛間播種栽培体系では大麦は10月上旬、大豆は5月下旬の適期播種が可能であり、それぞれ現地慣行栽培体系より20日程度早まる。また、大麦の収穫は7日程度早まる(図1)。

2.

立毛間播種栽培体系は現地慣行栽培体系より収量が30%程度向上し、品質も向上する(図1)。

3.

立毛間播種栽培では大豆の培土を高くすると、立毛間大麦は湿害を受ける可能性があるため、培土板は用いずにロータリカルチベータの耕耘爪の配列を変えて中耕し、飛散土による軽培土が適する(表1)。

4.

立毛間大麦の中耕は大麦生育中及び2年目大豆においても除草効果が高い(表2)。

5.

大麦は中耕により無効分げつが抑制され収量の向上がみられる。また、前作大豆の畦が崩されるため立毛間大豆の播種精度が高まる(表3)。

[成果の活用面・留意点]

1.

水田転換畑における大麦−大豆輪作体系の生産性向上に活用できる。

2.

立毛間播種機は東北農業研究センター開発のものが市販されている(S社製RT3000RH)。

3.

堆肥、土壌改良資材の投入は1年目大豆作付前に必ず実施する。

4.

1年目大豆では土壌処理剤、茎葉散布剤を用い雑草防除を徹底する。立毛間大豆・大麦の除草は中耕と茎葉散布剤を組み合わせた体系処理とする。

5.

施肥は慣行量を目安とし、作物を倒伏させない肥培管理を行う。

6.

雑草対策、地力維持のため畑地への転換期間は2年程度が望ましい。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

寒冷地輪換水田における大豆の省力的安定多収栽培技術の開発

予算区分:

国受託(21世紀プロ)

研究期間:

1999〜2001年度

研究担当者:

滝澤浩幸、星信幸、猪野亮、神崎正明、高橋智恵子、植松克彦、佐藤一良


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