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山形県における小麦新品種「ネバリゴシ」の品種特性と栽培法


[要約]

 小麦新品種「ネバリゴシ」は、「ナンブコムギ」に比べて収量性、耐倒伏性、外観品質に優れ、製粉特性や製めん適性が高い。栽培は慣行栽培に準ずるが、蛋白含量を上げて製めん適性を高めるためには減数分裂期追肥が必要である。

[キーワード]

小麦、ネバリゴシ、製めん適性、蛋白含量、追肥

[担当]山形農試・水田営農研究部
[連絡先]023-647-3500
[区分]東北農業・畑作物
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]

 小麦の生産拡大を図るには収穫期の雨ぬれによる穂発芽抵抗性が強く、外観品質、製めん適性がとくに優れた品種を選定する必要がある。平成13年2月に山形県の奨励品種に採用された「ネバリゴシ」は「ナンブコムギ」より収量性が高く、外観品質が良好で製めん適性も高いことから、その品種特性と高品質安定栽培法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1.

山形県における「ネバリゴシ」の品種特性
標準品種の「ナンブコムギ」に比較すると次のようである。
1)

出穂期は2日遅い早生である。成熟期は2日遅い。(表1

2)

耐雪性(雪腐病抵抗性)は同程度からやや劣る。穂発芽性は難である。

3)

稈長は10cm程度短く、耐倒伏性が強い。(表1

4)

穂長は短く、穂数は並である。(表1

5)

収量性は10%程度多収である。(表1

6)

リットル重は同程度だが、千粒重はやや小さい。外観品質は良好である。(表1

7)

粒質は粉状質で、粉色がやや優れる。(表2

8)

アミログラム特性の最高粘度が高く、アミロース含量が低く、製めん適性のうち特に食感が優れる。蛋白含量はやや低いので、10%を目標にした追肥による向上が可能である。(表2表3表4

2.

「ネバリゴシ」の栽培基準
1)

播種期:村山・庄内地域平坦部  10月1日〜5日
      置賜・村山(北村山)平坦部  9月25日〜10月1日
播種量、播種様式:畝幅15〜30cmのドリル播で10〜12kg/10a

2)

施肥: 基肥(N,P,K成分)   各10kg/10a
     融雪期追肥(N成分)    4kg/10a
     減数分裂期追肥(N成分) 2kg/10a
※減数分裂期追肥時期は葉耳間長0cm以上の穂が全穂の50%の時期で出穂8日前頃

3)

目標収量と収量構成要素

[成果の活用面・留意点]

1.

栽培適地は長期積雪日数が概ね100日以内の地域である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

水田の高度利用に対応した土地利用型作物生産技術の開発、麦類奨励品種決定調査

予算区分:

国庫、県単

研究期間:

1995〜2000年度

研究担当者:

菊地栄一、今田孝弘、今野 周、横山克至、大江栄悦、高取 寛、鈴木雅光、相澤直樹、今川彰教


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