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リンゴ幼果に発生した炭疽病の発生特徴と伝染源


[要約]

 リンゴ幼果に発生した赤色斑点症状は、落花期〜幼果期にかけてリンゴ樹上(果台等)で増殖した炭疽病菌(Colletotrichum acutatum)が幼果期に感染し発生したものである。罹病果は収穫期頃に赤道面より下部が腐敗する。

[キーワード]

リンゴ炭疽病、幼果、伝染源、地盤、Colletotrichum acutatum

[担当]岩手県農業研究センター・病害虫部・病理昆虫研究室
[連絡先]0197-68-4424
[区分]東北農業・果樹
[分類]科学・参考


[背景・ねらい]

 リンゴ炭疽病は収穫期頃に果実腐敗をおこす病害である。2000〜2001年に岩手県内の農家圃場において、リンゴ幼果に斑点症状等が発生し、羅病組織から炭疽病菌(Colletotrichum acutatum)が分離された。これまで、幼果に炭疽病が発生する報告がほとんどなかったことから、その発生特徴と伝染源を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1.

幼果における病徴および発生特徴
6月中旬〜7月上旬頃、幼果の陽光面に直径1mm以下の赤色斑点が多数形成される(図1−a)。腐敗を生ずることもある(図1−b)。
この斑点は果実の肥大に伴って消失するが、収穫期に近づくと果実表面が黒褐色を呈してくぼみ、典型的な炭疽病の病徴を示す。果実腐敗は8月中旬頃から発生がみられ、収穫期に近づくほど発生量が増加する。陽光面での発病が多い。果実における腐敗部位は、赤道面より下部に高率に認められる。(表1

2.

伝染源
発生圃場のリンゴ樹上(果台、果梗)では、落花期〜幼果期にかけて炭疽病(C. acutatum)の分生子が多量に形成され、これが伝染源になる。(図2表2

[成果の活用面・留意点]

1.

リンゴ炭疽病の伝染環に関する基礎的な知見であり、本病の発生生態の解明と防除対策に活用できる。

2.

ニセアカシアやシナノグルミを本病の伝染源とする場合、隣接するほど発病程度が高いことが知られている。しかし、幼果発病がみられた圃場では、いずれもニセアカシア等の伝染源植物は周辺に存在しないにもかかわらず、圃場内に広く発病が認められている。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

リンゴ炭疽病の発生予察技術の確立

予算区分:

国・県

研究期間:

2001〜2003年度

研究担当者:

猫塚修一


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