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秋冬ダイコンを中心とした土地利用型野菜の輪作大規模経営モデル


[要約]

 ダイコン産地において、ダイコン収穫搬送機等省力技術を導入し、「ヘイオーツ+ダイコン」、「バレイショ+ダイコン」、「ヘイオーツ+ダイコン」、「ウド」の4年輪作体系を行う経営モデルである。労働力が基幹(家族)・補助(雇用)各3名(計6名)の条件では、17.6haまで経営面積を拡大でき、所得1,882万円を確保できる。

[キーワード]

土地利用型野菜、ダイコン、土地利用型経営、輪作体系、経営モデル、耕作放棄地

[担当]福島農試・経営部・経営研究室
[連絡先]024-932-7788
[区分]東北農業・経営
[分類]行政・普及


[背景・ねらい]

 福島県浜通り地方北部では、昭和30年代から秋冬ダイコンの生産が本格化し、昭和48年には国の指定産地となった。しかし、近年、担い手の減少と農業従事者の高齢化に伴い、これら地域でも耕作放棄地が増大している。このような状況下で、土地利用型野菜(ダイコン)産地の維持、強化を図るためには、既存の秋冬ダイコンに加え、収益性の高い作物の導入とそれを基にした輪作体系の組み立てが望まれている。このため、新たに開発された省力技術を取り入れ、かつ輪作を行う土地利用型野菜経営体の姿を経営モデルにより明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1.

地域の土地利用型野菜の作付状況から、導入する作付体系を「エンバク野生種(ヘイオーツ)+ダイコン」、「バレイショ+ダイコン」、「ウド」とした。作業日誌に基づいた生産農家の生産費用(表1)、農業機械等の条件(表2)等を把握、整理したうえで、ダイコンに技術部門が開発した「2粒播種法」及び「収穫搬送機」を導入して輪作を行う経営モデルである(使用ソフト:FAPS2000 Ver.4.7)。

2.

大規模経営で導入する輪作体系は、「ヘイオーヅ+ダイコン」、「バレイショ+ダイコン」、「ヘイオーツ+ダイコン」、「ウド」の4年輪作とする。この場合、「ヘイオーツ+ダイコン」体系は他の2倍の面積となる(表4)。

3.

モデル経営体の土地利用型野菜経営は、基幹(家族)・補助(雇用)各3名(計6名)の労働力等の条件下において、17.6haまで経営面積を拡大することができる。この場合、上記輪作体系のとおり「ヘイオーツ+ダイコン」8.8ha、「バレイショ+ダイコン」4.4ha、「ウド」4.4haとなり、これによって、粗収益7,958万円、所得1,882万円を確保できる(表5)。

[成果の活用面・留意点]

1.

行政及び農業団体等が、地域において育成すべき担い手経営体のモデルとなるとともに、秋冬ダイコン産地の維持、強化の計画作成ための行政的、普及的な資料となる。

2.

策定したモデルのような土地利用型野菜経営体を育成することで、地域で増大している耕作放棄地を減少させる一方策となる。

3.

2粒播種技術については、2001年度成果情報「ダイコン栽培省力化のための2粒播種法(東北農業・野菜花き、福島農試・野菜部)」、ダイコン収穫搬送機については、2001年度成果情報「ダイコン収穫搬送機の開発(東北農業・作業技術、福島農試・種芸部)」を参照のこと。

4.

ダイコン収穫搬送機の導入は、収穫作業を軽労化するが、軽労化についての経済性は明確に評価できていない。軽労化を主眼として開発される農業機械の経済的評価手法が必要である。

[具体的データ]

 
[その他]
研究課題名:

土地利用型野菜を中心とした輪作体系の策定・秋冬ダイコンを中心とした土地利用型野菜の輪作体系実証

予算区分:

国庫補助・地域基幹(野菜の省力機械化技術を基幹とした大規模畑輪作技術)

研究期間:

1999〜2001年度

研究担当者:

岡本和夫

発表論文等:

平成13年度試験成績概要 福島県農業試験場


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