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真空凍結乾燥装置を利用したえだまめ加工品の製造方法


[要約]

 収穫後のえだまめを、脱莢、水洗、塩茹でし、さらに子実のみを莢から取り出して冷凍庫で予備凍結させた後、真空凍結乾燥装置を用いて真空凍結乾燥させると、えだまめの芳香、味および独特の食感を持ったスナック的な加工品が出来る。原料とするえだまめは、品質が良好であれば出荷調整余剰品や出荷規格外品の利用が可能である。また、塩茹でした子実を冷凍貯蔵し、後日加工することも可能である。

[キーワード]

えだまめ、真空凍結乾燥

[担当]山形農試・加工開発研究部
[連絡先]023-647-3500
[区分]東北農業・流通・加工
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]

 えだまめは、水田転作作物の1つとして、各地で優れた特性を有する品種の栽培が拡大しており、えだまめとしての利用の他、周年供給化などに向けた有効な活用法が求められている。また、他のえだまめ産地との差別化を図る上でも加工品の開発は急務である。以上のことから、現在食品加工分野で用いられている技術を応用して新たなえだまめ加工品の製造方法を検討する。

[成果の内容・特徴]

1.

図1に製造工程を示す。えだまめの真空凍結乾燥品は、えだまめ特有の芳香や味を良好に保持し独特の食感を持ったスナック的加工品である。製品重量が軽いので土産物としても手軽に利用出来る。また、この加工品は、粉末状に再加工することが容易なため、他の加工品の原料素材としても利用可能である。

2.

出荷調整余剰品や出荷規格外1粒莢品でも、品質が良好であれば有効利用が出来る。

3.

冷凍貯蔵した塩茹で子実も利用出来るので、製品を周年供給することが可能である。

[成果の活用面・留意点]

1.

えだまめの状態を良好に保つため、収穫後の原料調整は冷涼な場所で素早く行う。

2.

製品の仕上がりを良好にするため、2回の選別は丁寧に行う。

3.

本加工方法で提示したえだまめを塩茹でする際の塩分濃度と茹で時間は、あくまで目安であり、原料とするえだまめの特性や状態、地域ごとの嗜好が異なる可能性もあるので、状況に合わせて適宜調節する。

4.

塩茹で後の子実を冷凍貯蔵する場合は、後日乾燥用トレーに並べる際の作業性を考慮して塊状に冷凍せず、なるべくシート状に伸した形で冷凍する。また,乾燥用トレーに冷凍した子実を並べる時は、袋の上から軽く打撃を与え大きな塊状のものがなくなるようにする。その際、打撃が強すぎると袋が破れたり、子実が細かく砕けて製品の品質(特に外観)が低下するので注意する(図2)。

5.

真空凍結乾燥中は、直接製品の状態確認が出来ないので、生乾きを防止するためにも、ある程度乾燥時間に余裕を持たせた作業計画を立てる(図3)。

6.

製品は、製造後室内にそのまま放置すると短期間で褐変、芳香の揮散、吸湿、味の劣化、有害微生物の繁殖などが発生し、商品価値を著しく低下させる(図4)。そのため、製造後は速やかに袋詰めし冷暗所に保存する。やむをえず保存が長期間になる場合は、酸素や水分透過性が低く遮光性の高い包装資材を用い、脱酸素剤や乾燥剤なども併用する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

えだまめの鮮度保持・加工技術の開発

予算区分:

県単

研究期間:

2000〜2002年度

研究担当者:

今野陽一、鈴木東子、上野正夫、村川敬二、金子勝芳

発表論文等: なし

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