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農作業事故事例データベースと事故防止対策


[要約]

 昭和46年以降に岩手県内で発生した農作業事故車例のデータベースを作成した。また、近年の農作業事故発生実態を明らかにし、事故防止対策を示した。

[キーワード]

農作業事故、データベース、事故防止対策

[担当]岩手農研セ・農産部・生産工学研究室
[連絡先]0197-68-4415
[区分]東北農業・作業技術
[分類]行政・参考


[背景・ねらい]

 農業機械の大型化・機械操作の高度化が進む一方で、安全な機械作業方法への改善などの問題点が残されており、これらの問題点についての現状分析と課題の解決を図る。ここでは、農作業事故の現状把握及び問題点の摘出を行い、農作業事故防止技術の提言を行う。

[成果の内容・特徴]

1.

過去に岩手県内で発生した農作業事故事例についてデータベースを作成。
(1)

県内農作業事故調査詳細データ
データ数:平成元年以降死亡・傷害事故 98件。入力項目:20項目。

(2)

農作業死亡事故個表簡易版
データ数:昭和46年以降の農作業死亡事故 339件。入力項目:11項目。

2.

県内農作業死亡事故の発生実態と特徴(図1
(1)

過去に死亡事故発生頻度が非常に高かった市町村は概ね減少傾向に転じているが、他の都市近郊及び一部山間地域で増加傾向がみられ、特に盛岡周辺地域が著しい。

(2)

都市近郊で事故が増加している要因として、農道への車進入による交通事故の増大、農家の兼業化に伴う機械操作不慣れ及び作業期間が限られることによるゆとりの減少(ヒューマンエラー発生)等があげられる。

(3)

死亡者の年齢別割合でみると、60歳代以上の高齢層の割合が非常に高まっている。また、60歳未満層では発生頻度が低下しているのに対し、60歳以上では2倍近く上昇しており、特に男性の場合は非常に高い割合となっている。(図2

3.

農作業死亡事故の防止対策
(1)

トラクタでは、安全フレーム普及によりトラクタでの死亡事故をほぼゼロにできた事例もあり、安全フレーム装着推進が重要。現状では安全フレーム装着機の普及も進んでいるが、古い機種や中古農機では未装着のままの場合が多く、未装着機への安全フレーム装着を早急に推進する必要がある。

(2)

交通事故を防止するためには、農業機械に低速車マーク・夜光反射剤を取り付けることが効果的であるが、貼付する場所や大きさを工夫し、相手に気づきやすいように
することが重要である。

(3)

危険箇所の除去については、農家個々の対応のほか、集落ぐるみまたは地域ぐるみでの取り組みが重要である。また、この場合「農作業現場改善チェックリスト(生研機構編)」等を活用するのも有効である。

(4)

農業者に対しては、農作業事故につながるパターンの周知徹底によって、安全作業を励行させることが重要である。(表1

[成果の活用面・留意点]

1.

農作業事故防止対策推進資料として用いる。

2.

農作業事故の発生原因解析・対策等については、当事故データを含め生研機構を中心にも検討しており、安全情報のホームページが公開される予定である。

[具体的データ]

 
[その他]
研究課題名:

労働強度・機械作業安全性の解析と改善技術の確立

予算区分:

県単

研究期間:

1997〜2001年度

研究担当者:

八重樫耕一、新田政司

発表論文等:

なし


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