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水田での新しいケイ酸施用基準


[要約]

 水稲成熟期の茎葉ケイ酸含有率が11%となる土壌可給態ケイ酸量はpH6.2のリン酸緩衝液抽出法で約30mg/100g乾土である。また、茎葉ケイ酸含有率を1%高めるのに必要なケイ酸資材量は水溶性ケイ酸換算で約15kg/10aである。

[キーワード]

水稲、リン酸緩衝液、可給態ケイ酸、茎葉ケイ酸濃度、資材施用量

[担当]山形農試・生産環境研究部
[連絡先]023-647-3500
[区分]東北農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

 米価の低迷や労働力不足によるケイ酸資材投入量の減少が米の食味低下や反収の不安定化の一因であるといわれており、的確な土壌診断によるケイ酸資材の効率的施用が求められている。一方、従来の土壌及び資材の有効ケイ酸評価法であるpH4酢酸緩衝液抽出法及び0.5M塩酸抽出法は、水稲のケイ酸吸収量と相関が低いことも指摘されている。
 そこで、水稲の吸収とより一致する新しい分析法を用いてケイ酸資材の新しい施用基準を策定し、水稲の効率的なケイ酸栄養改善対策を図る。

[成果の内容・特徴]

1.

成熟期の茎葉ケイ酸含有率が11%となる土壌可給態ケイ酸量はpH6.2のリン酸緩衝液抽出法で約30mgSiO2/100g乾土である(図1)。

2.

成熟期の茎葉ケイ酸含有率を1%高めるのに必要なケイ酸資材施用量は、水溶性ケイ酸換算で約15kg/10aである(図2)。

3.

各種ケイ酸資材の水溶性ケイ酸量から、成熟期茎葉ケイ酸含有率を1%増加させる施用量の目安を示した(表1)。

4.

成熟期の茎葉ケイ酸含有率を11%まで高めるために必要な資材量を水溶性ケイ酸換算で表すと、土壌可給態ケイ酸量が20mg/100gでは60kg/10a、25mg/100gでは30kg/10aである(表2)。

[成果の活用面・留意点]

1.

土壌のリン酸緩衝液抽出法は、「土壌、水質及び植物体分析法」(平成13年3月財団法人日本土壌協会発行)による。

2.

沖積土壌に適用する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

水田におけるケイ酸施用基準の策定

予算区分:

県単

研究期間: 1998〜2001年度
研究担当者:

佐藤之信

発表論文等:

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