硫化物を含有する水田下層土壌のpH測定時の留意点
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[要約] |
硫化物を含有する土壌のpHの測定は、湿潤条件下で2ヶ月間放置後に行う。風乾した土壌を用いるとpHの低下を過小評価する。 |
[キーワード] |
土壌pH、硫化物、基盤整備、酸性土壌、水田土壌 |
[担当]福島農試・冷害試験地
[連絡先]0242-62-3606
[区分]東北農業・生産環境
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい] |
下層に硫化物を含む水田の一部で、基盤整備後数年間にわたり、水稲に生育障害が発生する現象がみられ、場所によっては収穫が皆無になる。これは硫酸酸性土壌が原因であり、土壌pHが、4以下になることもめずらしくはない。生育障害の程度、発生時期・期間をあらかじめ予測することは困難であり、基盤整備予定地域の下層土を事前に調査して、硫化物を含む土壌を作土と混合すること、並びに表面に露出するのを避けることが必要である。
調査の際には、pHの測定が重要となるが、これまでの化学的酸化による方法で測定される値は、推測される対象土壌の最終pHであり、主に生物的に進行する実際のほ場の酸性化の状況を反映しないことがある。そこで、生物的酸化を考慮したpH測定時の留意点を示す。 |
[成果の内容・特徴] |
1.
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調査水田は、酸性河川流域にあり、作土(約15cm)、2層(10〜20cm)、黒泥層(25〜35cm以下の層)、泥炭(部分的)からなる(写真1)。
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2.
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作土、2層、黒泥、泥炭の採取直後のそれぞれのpHは、6以上である(以下表1)。
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3.
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それぞれの土壌pHは、風乾によって1〜1.5低下し、低下の程度は下層ほど大きい。泥炭のpHは、風乾により3.4低下し、3.0になる。
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4.
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湿潤条件下(土壌:水の比1:1、シャーレ中で、それぞれの土壌pHは徐々に低下し、2ヶ月後には、1.1〜3.2低下する。下層に向かうほど低下が大きい。光の有無は、pHの低下に影響を与えない。下層位の土壌に作土を添加して、静置するとpHの低下が促進されることがある。
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5.
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pHの低下は、風乾よりも湿潤条件で大きいので、測定は湿潤条件で、しかも2ヶ月間の放置後に実施する。
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[成果の活用面・留意点] |
1.
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下層に硫化物を含有する水田地域における、基盤整備の事前調査に活用、基盤整備後の水稲の生育障害を回避するのに有効である。
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2.
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作土の下の土壌を層位ごとに採取し、pHの低下が予想される層位の土壌は、作土と混合するのを避け、地表面に露出させない。
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3.
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既存の化学的酸化法による評価よりも長い判定期間を要するが、実際のほ場における酸性化状況を具体的に把握できる。
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名: |
猪苗代地域における基整整備水田の酸性化要因
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予算区分: |
県単
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研究期間: |
2001年度
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研究担当者: |
菅家文左衛門
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発表論文等: |
なし |
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