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いもち病・紋枯病・ごま葉枯病混発地帯における省力的同時防除


[要約]

 いもち病、紋枯病、ごま葉枯病の混発地帯では、葉いもち発生予察に基づく葉いもち全般発生開始期にメトミノストロビン1キロ粒剤を湛水施用することで、これら3病害を同時に省農薬防除することができる。

[キーワード]

水稲、病害、いもち病、紋枯病、ごま葉枯病、発生予察、省農薬防除

[担当]島農試・病理昆虫部・発生予察研究室
[連絡先]024-932-7789
[区分]東北農業・生産環境(病害虫)
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]

 水稲の主要病害であるいもち病、紋枯病、ごま葉枯病を防除するためには、それぞれの病害に対して適期に各々の薬剤を散布する必要があり、これらの病害が混発する地域では多数回の防除が必要になっているのが現状である。
 メトミノストロビン1キロ粒剤は、一成分の薬剤ながら、いもち病、紋枯病、ごま葉枯病に有効であり、最も効果的な時期に処理することでこれら3病害を同時に防除することが可能である。
 そこで、いもち病発生予察情報に基づく葉いもちに対する防除適期(葉いもち全般発生開始期)のメトミノストロビン1キロ粒剤施用による、いもち病、紋枯病、ごま葉枯病に対する防除効果を慣行防除と比較し、3病害に対する省農薬同時防除体系を構築する。

[成果の内容・特徴]

1.

葉いもち病発生予察情報で予測される葉いもち全般発生開始期にメトミノストロビン1キロ粒剤を施用すると、いもち病の発生がよく抑えられ、対照のプロベナゾール粒剤とピロキロン粒剤の体系処理と同等からやや優る防除効果が認められる(図1)。

2.

葉いもち全般発生開始期のメトミノストロビン1キロ粒剤施用は、ごま葉枯病菌による穂枯れの発生もよく抑え、対照のエディフェンフォス乳剤の穂孕末期と穂揃期の2回散布とほぼ同等の防除効果を示す(図3)。

3.

葉いもち全般発生開始期のメトミノストロビン1キロ粒剤施用は、対照としたフラメトピル粒剤の出穂11日前処理に比較してやや劣るが、紋枯病に対する防除効果が認められた(図4)。

4.

以上のことから、いもち病、紋枯病、ごま葉枯病の混発地帯では、いもち病発生予察情報で予測された葉いもち全般発生開始期にメトミノストロビン1キロ粒剤を施用することで、それぞれの病害に対して行われている現状の薬剤散布の回数を軽減することが可能である(表1)。

[成果の活用面・留意点]

1.

本成果は、いもち病、紋枯病、ごま葉枯病が混発している地域で有効である。

2.

メトミノストロビン1キロ粒剤の施用量、施用の収穫前日数などの登録要件を遵守する。

3.

メトミノストロビン1キロ粒剤の施用後に上位葉に褐点症状が生じる場合がある。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

耕種的防除を核としたいもち病等病害の総合防除技術の確立

予算区分:

東北農試委託(持続的農業)

研究期間:

1999〜2001年度

研究担当者:

根本文宏、山田真孝、金山貴明

発表論文等: なし

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