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「ふくしま赤しゃも」の出荷適期は110〜120日である


[要約]

 本県で開発した優良肉用鶏「ふくしま赤しゃも」の出荷適期は生体重を基にした経済性の検討から90日としてきた。しかし、正肉歩留まりの経済性と美味しさに対する消費者ニーズに応えるため、経時的にうま味成分の主成分分析と官能検査を実施したところ、出荷適期を110日〜120日に延長することが良いとの結果を得た。

[キーワード]

優良肉用鶏、地鶏、経済性、出荷適期、うま味成分、消費者ニーズ

[担当]福島県養鶏試験場・経営部
[連絡先]024-932-1678
[区分]東北農業・畜産
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]

 福島県では高品質地鶏として「ふくしま赤しゃも」(以下赤しゃも)を普及している。赤しゃもの出荷適期は、生体重を基にした経済性の検討から90日としてきた。しかし、おいしい鶏肉を求める消費者ニーズに応えるため、うま味成分(イノシン酸、遊離グルタミン酸)等の主成分分析と官能検査、飼育期間延長に伴う生産性及び経済性への影響を調べ、赤しゃもの出荷時期を再検討した。

[成果の内容・特徴]

1.

育成率は150日齢まで飼育延長しても、雄98.9%、雌99.2%と、いずれも高かった。

2.

体重と飼料要求率は、雌雄ともに経時的に増加した。増体率は、雄では110〜130日齢で高く、雌では90〜130日齢で高くなった。(図1

3.

正肉は雌雄ともに経時的に増加したが、雄では90〜110日で増加の割合が高かった。(図2

4.

生産費は生体1kg当たりでは90日で最も低く、377円であったが、正肉1kg当たりでは110〜130日で最も低く、1,463円となった。(図3

5.

官能検査はシェッフェの一対比較法を用いた結果、おいしいと感じる日齢は、雄が90〜120日、雌が120日であった(表1)。うま味成分(イノシン酸、遊離グルタミン酸)等の主成分分析では雌雄共に110日で主成分得点が高かった(表1)。

[成果の活用面・留意点]

1.

おいしい鶏肉を求める消費者ニーズと、正肉を基準にした生産性を考慮すると、出荷適期は110〜120日齢が良い。

2.

飼育期間の延長により、雄は性成熱に達し、雌の体を傷付ける可能性があるため、雄は早めに出荷するか、雄と雌の分離飼育の必要がある。

[具体的データ]

 
[その他]
研究課題名:

高付加価値鶏肉の生産及び評価技術の確立
ふくしま赤しゃもの長期肥育効果が経済性・肉質に与える影響

予算区分:

県単

研究期間:

2000〜2001年度

研究担当者:

関澤春仁、猪狩勉、生沼英之

発表論文等:

1) 福島県養鶏試験場研究報告第29号掲載
2) 東北農業研究(No 54)


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