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シバムギ混生草地の植生、牧養力並びに栄養価


[要約]
シバムギは放牧草地においてケンタッキーブルーグラス及びシロクローバと共存し、高い植被率を維持する。このような放牧草地の牧養力は北東北低・中標高地ではおよそ600CDである。放牧草地におけるシバムギの栄養価は他牧草と比べ中程度である。
[キーワード]
栽培、牧草類、シバムギ、放牧、植生、牧養力、栄養価
[担当]東北農研・畜産草地部・放牧管理研究室
[連絡先]019-643-3562
[区分]東北農業・畜産、畜産草地
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
近年、低投入で省力的な管理に適する放牧利用向けの牧草種としてシバムギが注目され、評価が試みられている。シバムギは放牧草地で既存のトールフェスク(TF)やペレニアルライグラス(PRG)を衰退させるが、ケンタッキーブルーグラス(KB)やシロクローバ(WC)と共存する可能性があることが観察されている。このようなシバムギを優占草種の一つとする放牧草地(シバムギ混生草地という)の植生の経年変化、牧養力及び栄養価を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
 
1. シバムギは1980年代末に、TFやPRGで造成され肉用種繁殖牛群の放牧を続けてきた草地への侵入が認められ、その後急速に分布を拡げ1995年頃にはシバムギが優占する草地が形成された。それ以降同様の放牧条件下で、シバムギの被度は低下傾向を、KBは増加傾向を示すが、WCと共に3草種が優占し、高い植被率(99%)を維持する(図1)。
2. シバムギ混生草地ほか2草地における繁殖牛群及び育成牛群による先行後追い放牧では、シバムギ混生草地の牧養力は614CDであった。また、繁殖牛群が牧草の生育最盛期のみ育成牛群の後追い放牧をした時は664CDであった(表1)。これらから、主として繁殖牛を放牧したときのシバムギ混生草地の牧養力は600CD程度で、東北地域の牧草放牧地の牧養力目標値と比べて同等ないしやや高い。
3. 放牧草地におけるシバムギの飼料成分を寒地型牧草4種と比較すると、可消化養分総量(TDN)及び中性デタージェント繊維(NDF)含量は中位で、粗タンパク(CP)含量は他草種より高い(表2)。これらよりシバムギは放牧草地では中程度の栄養価の草種である。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 牧養力及び栄養価の数値は放牧計画に利用できる。
2. シバムギ混生草地における主要草種の被度は放牧圧により変動すると考えられる。
3. 本結果は年間窒素量5kg/10aで、また、補助飼料無給与で実施したものである。
[具体的データ]
 
 
 
[その他]
研究課題名: 肉用種繁殖牛のための草地の安定利用技術の開発
−繁殖牛に適する草種の評価とその放牧管理法−
予算区分: 交付金
研究期間: 1994〜2001年度
研究担当者: 八木隆徳、目黒良平、福田栄紀
発表論文等: 1)八木ら(2000)日草誌46(別):222-223.
2)八木ら(2000)日草誌46(別):224-225.