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[背景・ねらい] |
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稲品種の命名登録申請を行う際に新品種候補系統の適搗精度を判定するときには、これまでK社試験用精米機が使われてきたが、型が古くなるとともに機械の入手が難しくなってきている。またK社試験用精米機は一般の摩擦式の精米機とは異なり研削式で搗精するため、判定法自体が問題とされている。そこで、最近普及している摩擦式の家庭用精米機が新品種候補系統の適搗精度の判定に使えるかどうかを検討する。 |
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[成果の内容・特徴] |
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1. |
K社試験用精米機(型式TP-2)と、S社家庭用精米機(型式SKM-5A)では、糠が完全に除かれた適搗精となる時間が異なるが、適搗精時における精米の搗精歩合と白度はほぼ同じである(表1)。 |
2. |
K社試験用精米機は、搗精時間に対する搗精歩合及び白度の関係が直線的でなく、結果が変動しやすい。一方、S社家庭用精米機では関係が直線的で、より明瞭な搗精特性を得ることができる(図1〜4)。 |
3. |
砕米はS社家庭用精米機では少ないが、K社試験用精米機ではかなり多く適搗精でも30%近い場合がある(表1)。K社試験用精米機は砕けやすい米の搗精には不適である。 |
4. |
K社試験用精米機は米詰まりを起こしやすく毎回掃除を要し、精米回数が多い場合には困難を伴うが、S社家庭用精米機は米詰まりを起こさず、構造上糠の掃除が簡単である。 |
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[成果の活用面・留意点] |
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1. |
適搗精度の判定に必要な玄米の量は、K社試験用精米機では100gであるが、S社家庭用精米機ではある程度の量(2合、340g以上)が必要である。 |
2. |
今回調査した家庭用精米機は1機種のみであるが、他社の機種でも性能が優れているものがあると思われる。いくつかの家庭用精米機の性能を比較して、品種の適搗精度を判定するための精米機として優れているものを選定する必要がある。 |
3. |
K社試験用精米機の価格は30万円であるのに対して、S社家庭用精米機の価格はその約1/10である。 |
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