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野菜収穫運搬車によるキャベツ収穫作業の軽労化と機械の導入基準


[要約]

 野菜収穫運搬車は、キャベツの選択収穫作業における収穫及び運搬補助作業機として有効で、4人組作業で10aあたり12時間程度で作業でき、慣行作業の23.5%の省力化が可能である。月別負担面積は2.0〜2.8haで、損益分岐点面積は6.7haである。本機の利用により単位面積当たりの作業負担度は1/3〜1/4に軽減される。

[キーワード]

キャベツ収穫作業、運搬、省力化、軽労化

[担当]岩手農研セ・農産部・生産工学研究室
[連絡先]0197-68-4415
[区分]東北農業・野菜花き(野菜)、作業技術
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]

 農業就業人口は年々減少・高齢化の傾向にあり、露地野菜の省力化、軽労化が望まれている。キャベツ栽培における生産現場では育苗、移植、中間管理の機械化が進んできているが、依然として手作業で行われている収穫・運搬作業については、特に、圃場内での運搬の省力化・軽労化が強く望まれている。そこで、選択収穫を前提とした収穫・運搬の補助作業機械の性能を評価し、導入基準を示す。

[成果の内容・特徴]

1.

本機を用いた作業の流れ(写真1
(1)

収穫者が機体前方で選択的に収穫・調製したキャベツをコンベヤに載せる。

(2)

コンベヤで機体後部に運ばれたキャベツを後部作業者が箱詰め、梱包作業する。

(3)

箱詰めの終わった箱は荷台に搭載する。300kg程度まで搭載可能。

(4)

荷下ろし時には、トラック等の運搬車に横付け可能で、コンベヤを逆回転させて荷台搭載物の荷下ろしが可能。

2.

本機を用いたキャベツ収穫作業は、4人組作業の場合で10a当たり12.4時間で作業でき、慣行の手収穫作業に比べて延べ作業時間で23.5%の省力化が可能である(表2)。

3.

負担面積は、月別で概ね2.0〜2.8haと思われた(表2)。ただし、降雨後及び降雨時の圃場での機械走行が可能であればこの限りではない。

4.

拐益分岐点面積は、必要最小限のオプション装着を想定した場合の価格で、6.7ha程度である(表3)。

5.

10a当たり作業負担度は、収穫者、箱詰め作業者ともに大幅に軽減される(表4)。

[成果の活用面・留意点]

1.

本機は慣行手収穫作業の運搬作業の補助機として有効であり、クローラ幅が狭いため、選択収穫の場合に数回圃場に入っての作業も可能である。ただし、機体の畦間走行がずれて未収穫キャベツに損傷を与えることがあることから、畦をできるだけまっすぐに成型するとともに機体の走行状況を時々チェックし、確実に畦間走行させる必要がある(表2)。

2.

収穫者は継続した作業では作業姿勢がつらくなる傾向があるため、比較的負担の少ない箱詰め作業者と交代での作業が望ましい(表4)。

3.

本成果は平坦地および、傾斜度5°程度までの傾斜での上下作業に適応できる。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

野菜の省力機械化技術を基幹とした大規模畑輪作技術

予算区分:

国・県(地域基幹)

研究期間:

1997〜2001年度

研究担当者:

大里達朗、八重樫耕一、高橋昭喜、鶴田正明、新田政司

発表論文等:

なし


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