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小トンネル被覆により越冬率が向上するねぎの露地夏どり栽培技術


[要約]

 露地越冬夏どり栽培において、前年10月中旬に40日〜60日育苗の苗を定植し、冬期に小トンネル被覆することにより越冬率が向上する。また、抽だい率が10%以内に抑えられ、安定した生育・収量が確保される。

[キーワード]

ねぎ、夏どり、越冬率、抽だい、小トンネル被覆

[担当]秋田農試・野菜・花き部・野菜担当
[連絡先]018-881-3316
[区分]東北農業・野菜・花き
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

 秋田県におけるねぎ栽培は、9〜12月出荷が主体となっているが、近年、夏どり作型も増加しつつある。夏どりの場合、2月播種、4月上〜中旬定植、8月中旬からの収穫が標準的な作型となっているが、種苗センター等では時期的に他作目の育苗があるなど育苗施設の確保が問題であり、また圃場準備・定植が春先の繁忙期と重なり、新たに取り組むには障害となっている。その一方で、さらに早い時期から収穫できる作型の開発が望まれている。そこで、育苗施設が比較的利用しやすい時期に無加温育苗でき、出荷期の前進と作業労力の分散を図ることができる露地越冬夏どり栽培を確立する。

[成果の内容・特徴]

1.

前年10月中旬定植の露地越冬作型で、約40〜60日育苗のチェーンポット苗、セル苗とも冬期間の小トンネル被覆により越冬率が向上する(図1)。

2.

小トンネル被覆下の抽だい発生率は、育苗方法の影響が見られるものの、この作型では10%以内に抑えられる(表1)。

3.

小トンネル被覆下の生育状祝は、セル苗がチェーンポット苗より早く、8/15播種セル苗は7月下旬から収穫が可能となる(表2)。

4.

この作型では、ハウス越冬苗の春定植より収穫期が約20日早まり、セル苗、チェーンポット苗とも8月上旬には収穫となる。また、冬期に小トンネル被覆することにより、セル苗で約3トン/10aの収量が見込まれる(図2)。

[成果の活用面・留意点]

1.

小トンネル被覆にかかる経費は支柱と農ポリを合わせて約15万円であるが、支柱を5年間使用した場合、単年度あたり約5万円程度となる。

2.

春先、雪どけ水が植え溝に停滞しないような排水の良い圃場を選定する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

野菜の高品質・安定多収栽培技術の開発

予算区分:

県単

研究期間:

2000〜2001年度

研究担当者:

本庄求、田村晃、林浩之、高橋弥生、加賀屋博行


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