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夏秋栽培における高糖度トマト生産のかん水方法


[要約]

 根域制限した夏秋トマト栽培において高糖度の果実を生産するには、3段密植栽培で300ml/株/日、6段密植栽培で700ml/株/日、程度のかん水量を1日1回与える。土壌pF値は2.7程度となるよう管理する。

[キーワード]

トマト、根域制限、夏秋栽培、高糖度、かん水方法

[担当]秋田農試・野菜花き部・野菜担当
[連絡先]018-881-3330
[区分]東北農業・野菜花き
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

 トマトの根域制限栽培においては、かん水量を減らすことによって高糖度果実が生産されている。暖地においては、この方法は果実肥大期が低温期にあたる促成栽培に用いられることが普通である。これを秋田県の主作型である夏秋栽培に適用すると、生育期間が高温、多日照条件に遭遇することから土壌が過乾燥となりやすい。また、果実糖度が向上しにくく、さらに精密な水分管理が求められる。そこで、夏秋栽培におけるかん水量とかん水方法がトマトの果実糖度におよぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1.

しゃ根透水シートを用いた根域制限栽培により3段密植栽培すると、1日1回のかん水ではかん水量が300ml/株/日以下になると可販果糖度は7度程度まで上昇する(図1)。6段密植栽培では、1日1回のかん水では3段密植栽培の約2倍のかん水量である700ml/株/日を与えると可販果糖度が7度になる(表1)。

2.

6段密植栽培での土穣pF値(探さ10cm)をみると、1日1回のかん水は積算日射量に応じて、1.4〜2.7の範囲で大きく変動する。一方、間断かん水は2.7の近傍で一定に推移する(図2)。

3.

このことから、1日1回のかん水では、3段密植栽培では300ml/株/日、6段密植栽培では700ml/株/日のかん水量を与えながら、土壌pF値が2.7を指標として管理すると高糖度果実が生産される。

4.

可販果糖度が同一になる条件でかん水方法が果実収量に及ぼす影響をみると、1日1回のかん水は間断かん水にくらべ総収量、可販収量、高糖度果収量が増加する。また、尻腐れ果や小果などの障害果の発生も少なく、かん水制限時に用いるかん水法として適する(表1図3)。

[成果の活用面・留意点]

1.

目標となるかん水量は栽培様式に応じて増減する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

施設野菜の高収益生産技術の確立

予算区分:

県単

研究期間:

2000年〜2001年度

研究担当者:

林 浩之、佐藤 晶、東屋 希、加賀屋博行

発表論文等: なし

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