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揃いの良い辛味ダイコン新品種「秋試交5号」


[要約]

 秋田県在来の辛味が強い「松館しぼり大根」から、根形が揃う辛味ダイコン新品種「秋試交5号」を育成した。このF1品種は在来系統の特徴を維持しつつ、外観の均一性に優れ、辛味成分の個体間差も少ない。

[キーワード]

在来種、辛味、松館しぼり大根、ダイコン、新品種、秋試交5号

[担当]秋田農試・野菜花き部・園芸育種担当、園芸環境担当
[連絡先]018-881-3330
[区分]東北農業・野菜花き
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]

 秋田県鹿角市在来の「松館しぼり大根」は、極めて辛味が強く、おろし専用の地ダイコンとして秋田県を代表する地域特産野菜の一つとなっている。しかし、地元で自家採種によって維持されてきたため、異品種との交雑により、根形や辛味の強さで不揃いが目立つようになった。そこで揃いが良く、商品性の高い辛味ダイコンの育成を図った。

[成果の内容・特徴]

1.

「秋試交5号」は、1989年に収集した「松館しぼり大根」在来系統から育成した自殖2系統間の、正逆交配によるF1品種である。本品種の採種には、自家不和合性を利用している。

2.

地上部(葉部)特性は、在来系統より草姿が立性で葉が短く、葉重も小さいためコンパクトである(表1)。

3.

地下部(根部)特性は、在来系統より根重が大きく、収量が多い。また、在来系統より根長が短く、根形は短円筒形である(表1図2)。

4.

おろし特性は、含水率が88.7%と水分が少なく、糖度は6.8%と高い。食味官能試験による辛味評点は3.3と極めて辛味が強い(表1)。辛味成分(イソチオシアネート)量で示した辛味度は、青首ダイコンの3.7倍と在来系統よりさらに高い(図1)。

5.

植物体諸形質の変動係数は、葉重、根重、根長、縦横比、辛味度のいずれの場合でも、在来系統や「からいね(市販辛味ダイコン)」と比較して小さく、非常に揃いが良く均一性が高い(表2)。

[成果の活用面・留意点]

1.

栽培方法は、在来の「松館しぼり大根」に準ずる。

2.

耐暑性が弱く、辛味は気温の日格差が大きいほど増すとされるため、県内内陸の中山間地での7月下旬〜8月中旬播種を厳守する。

3.

本年度中の品種登録申請を予定している。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

戦略野菜・地域特産野菜等の新品種育成

予算区分:

県単

研究期間:

1989〜2001年度

研究担当者:

椿 信一、佐藤孝夫、鈴木 基、三澤土志郎、篠田光江

発表論文等: 品種登録申請予定

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