| 1. |
タイヌビエを完全に除草すれば、土中種子数は土中死滅や発芽・出芽などで毎年60%ずつ減少し、残りの40%が翌年の春まで生存して発生源となる(図1:完全除草)。 |
| 2. |
完全に除草できない場合は新たな種子が供給され、その数は除草効果によって異なる残草量に依存し、無除草や機械除草では1万粒/m2以上の高い種子密度で推移する(図1)。 |
| 3. |
本モデルは、ある年tの土中種子数SP(t)(粒/m2)とその年間生存率SV1、および種子生産量P(粒/m2)とその越冬生存率SV2から、翌年t+1の土中種子数SP(t+1)(粒/m2)を推定するものである(式1)。式中のSV1とSV2は、完全除草区と無除草区の土中種子数の推移をもとに推定する(図2)。
SP(t+1) = SP(t)×SV1 + P×SV2 |
(式1) |
種子生産量Pは残草量Ge(g/m2)から単回帰式を用いて推定する(式2, R2=0.766)。Geは無処理区の残草量G(g/m2)と除草効果Eによって決まる(式3)。Gは土中種子数SP(t)から対数ロジスティック式を用いて推定する(式4)。
P=84.821×Ge−42.728 |
(式2) |
Ge=G×(1−E) |
(式3) |
G=277.59/(1+14010×exp(-1.6288×ln(SP(t)))) |
(式4) |
したがって、式1〜4より、SP(t+1)はSP(t)とEから推定できる。 |
| 4. |
圃場試験で得られたSV1(0.4)とSV2(0.73)及び各処理区の除草効果E(完全除草1, 薬剤除草0.98, 機械除草0.46, 無除草0)を用いて翌年の種子数を推定すると、本モデルは除草効果が高い場合にはよく当てはまるが、除草効果が低い場合には若干当てはまりが悪い(図3)。 |
| 5. |
このモデルによれば、土中種子数1000粒/m2から種子数を減らすには除草効果0.97以上、100粒/m2からさらに種子数を減らすには除草効果0.99以上が求められる(図4)。 |