1. |
アブラナ科野菜病害虫の総合的病害虫管理は図1のような手順に従って行う。 |
2. |
根こぶ病については総合防除を行う際には、圃場の病原菌密度を把握すると同時に、作成した病原菌密度−発病度曲線を考慮して、表1に示すような防除技術を選択する。苗立枯れ症は菌食性のトビムシ、キャベツ萎黄病は病原性喪失菌とカニ殻粉末、アブラナ科野菜根こぶ病は葉ダイコンやエンバクなどのおとり植物と石灰資材等により、発病を抑えることができる。また、コナガは寄生蜂のセイヨウコナガチビアメバチを放飼することにより、幼虫密度を抑制できる。 |
3. |
福島県白河市のブロッコリー栽培の現地圃場での実証試験の結果から、おとり植物と石灰資材等を併用することにより、慣行防除並に根こぶ病の発病を抑制できる(データ略)。 |
4. |
岩手県西根町のキャベツ栽培の現地圃場で、根こぶ病のおとり作物のエンバクを前作し、寄生蜂のコナガに対する効果を検討した実証試験の結果から、寄生蜂の放飼と選択性殺虫剤の併用により、コナガの幼虫密度を慣行防除とほぼ同程度かそれ以下に抑制することができる(図2)。また、その際の収益性の比較は表2の通りであり、差別化して、1割高い単価で販売することにより、慣行と同等の収益が得られる。アンケートの結果では、8割の消費者は減農薬野菜を1割以上高くても買うと回答している(データ略)。 |
5. |
根こぶ病、コナガ、萎黄病、苗立枯れ症については総合的病害虫管理を実施する際に総合防除策定の概略を示したマニュアル(研究者・指導者用)を、利用する。 |