| [背景・ねらい] |
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重要水稲害虫の斑点米カメムシ類防除には畦畔等の草刈りが有効とされている。現在、草刈りは出穂期の14日(県によっては10日)前までは励行され,それ以降は行わないように指導されている。その根拠は14日前以前であれば、たとえカメムシ成虫が水田に追い込まれても適する餌の稲穂がないため定着しないし、産卵されても卵期間は10日に満たないためにふ化幼虫は餌不足で死ぬためとされている。一方、14日前以降は幼虫のふ化時に餌の稲穂があり生き残ることと出穂したイネではカメムシが定着するためとされている。
実際にカメムシが畦畔・農道での草刈りによりどの程度水田に追い込まれるかを粉末蛍光顔料により標識した東北地方の最重要種アカヒゲホソミドリカスミカメを用いて検討する。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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| 1. |
出穂期14日前に畦畔・農道で草刈りを行う場合、そこに生息するアカヒゲホソミドリカスミカメ(以下、アカヒゲと略す)成虫はたとえ水田に追い込まれても、定着はしない(表1)。 |
| 2. |
出穂期と同21日後に畦畔・農道で草刈りを行う場合、草刈りによりアカヒゲ成虫が水田に追い込まれ定着する(表1、2)。 |
| 3. |
出穂期37日後でもカメムシが水田に飛来した場合には定着する(表1)。 |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
本成果は畦畔・農道の除草指導上の根拠として利用できる。 |
| 2. |
畦畔・農道および周辺でアカヒゲの発生が多い場合には、畦畔・農道での草刈りの有無に関わらずアカヒゲが水田へ飛来する恐れがあるので注意を要する。 |
| 3. |
畦畔・農道で出穂期14日前以降の草刈りを行わない場合にも、除草剤の使用や夏枯れにより雑草が枯死するとアカヒゲが水田に侵入する恐れがある。 |
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