| [背景・ねらい] |
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エンドトキシン産生菌由来の乳房炎、なかでも大腸菌性乳房炎は発生率が高く、病態も乳房内に限局せず、全身性の炎症反応を引き起こす。大腸菌性乳房炎罹患牛では、血液及び乳中のTNFαの発現が高まっており、このサイトカインが炎症反応に関わっていることが示唆されている。そこで、泌乳牛へのrbTNFの連日投与が、炎症性物質の産生及び乳量・乳成分に及ぼす影響を明らかにし、TNFαが大腸菌性乳房炎にみられる全身性炎症反応を誘導するかどうか検討する。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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| 1. |
分娩後10週目のホルスタイン種泌乳牛に、rbTNF(2.5μg/kg)を1日1回、連続7日間皮下注射すると、急性期蛋白である血漿中のHp濃度が上昇し(図1)、急性相反応を誘導する。 |
| 2. |
炎症指標物質であるNOは、血漿のみならず乳中でも増加する(図2)。 |
| 3. |
乳蛋白質率は低下し、乳脂肪率は増加する(図3)。 |
| 4. |
乳量はrbTNFα投与区が生理食塩水を注射した対照区に比べ約18%減少する(図4)。 |
| 5. |
以上の結果は、TNFαは大腸菌性乳房炎にみられる全身性の炎症反応を誘導することを示している。 |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
TNFαが大腸菌性乳房炎にみられる炎症反応を誘導することをin vivoで証明した初めての知見であり、臨床型乳房炎のメカニズムを解明する重要な情報となる。 |
| 2. |
TNFαにより産生が刺激されるインターロイキン(IL)-1β及びIL-6などの他のサイトカインによる影響も検討する必要がある。 |
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