| [背景・ねらい] |
 |
稲発酵粗飼料ロールベールは、籾の分布が偏って材料密度が不均一になりやすい。そのため、採取する部位によって発酵品質や栄養価の成分が大きく変動しやすく、それらの代表値を得るのは困難である。特に、コンバイン型の稲発酵粗飼料専用カッティングロールベーラで調製した場合に成分値の変動は著しくなる。そこで、代表的成分値を得るための簡易なサンプリング方法として、ベールの上部、中央部及び下部の3ヶ所からサンプルを採取し、それらを混合して分析用サンプルを調製する方法を検討する。 |
 |
| [成果の内容・特徴] |
| |
| 1. |
サンプリングは図1のように行い、2種類の混合方法(等重量混合法及び等体積混合法)を用いる。ここに挙げた事例においては、上述のコンバイン型のロールベーラで調製した乳酸菌添加区及び対照区のベールを1個ずつ用い、コアサンプラーは使用せずに手作業でサンプルを採取している。等体積混合法における元のサンプルの原物重量混合比は(上部:籾の多かった部分):(中央部):(下部)=1.3:1:1とし、使用するビーカーは1L容のものを用いている。 |
| 2. |
稲発酵粗飼料ロールベールの成分の指標値(乾物率、籾含量及びpH、表1)はいずれも採取部位によって大きく変動し、ベールの代表的サンプルを得るのは困難である。しかし、等重量及び等体積混合法で調製したサンプルはいずれも平均的な成分指標値あるいは成分値が得られる(表1及び2)。また、籾、粗蛋白質及び酸性デタージェント繊維の含量は、ベール調製前の原料と大差はない(表2)。 |
| 3. |
以上の結果からは、稲発酵粗飼料ロールベールの代表的サンプルを得るには、少なくともベールの上部、中央部及び下部計3ヶ所からサンプルを採取して、上記いずれかの方法で混合して用いる必要がある。ベール間の成分値の有意差を調べたい場合には、そのような混合サンプルを3〜4検体ずつ調製して、それらの成分値の平均と標準偏差を出せばよい。 |
|
 |
| [成果の活用面・留意点] |
| |
| 1. |
ロールベール全体を解体・混合してからサンプリングする場合に比べ、労力をかけずにサンプリングを行うことができる。 |
| 2. |
等重量混合法は、サンプルの調製に比較的労力がかからず、大まかな成分値が得られればよい場合に適している。一方、等体積混合法は、より精度の高い成分値を求めたい場合に適しているが、サンプルの調製がやや煩雑である。 |
|