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NPK各成分含量約4kg/10a/年の施肥を続けた黒ボク土壌の緩い西向き斜面の放牧草地(1.2ha,斜度5.5 7.0度,平均気温11.8℃,年間降水量1,303mm)に93年から無施肥で放牧を9年間続けた。この草地を2分し、各区に成牛1頭(約600kg)を5月から10月まで放牧した。一方の牧区では排泄された日平均12個の糞を全て除去した糞無し区と、他方は放置した糞有り区とした。両区は各々シバ優占部分と、オーチャードグラス優占部分の異なる植生区分からなる。土壌中ミネラル含量の年次変動、及び両草種の乾物生産量を両区間で比較した。 |
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Kは両区ともに減少傾向を示し、Pは糞無し区で減少した(図1)ことから、施肥はKの維持に、排糞はPの維持に重要な役割を果たすと考えられる。 |
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無施肥処理の上に排糞除去処理を9年間加えてもN、Ca等の減少は認められないことが明らかとなった。N等の天然供給量とその供給メカニズムの詳細な解明が望まれる。 |
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乾物生産量の比較では、シバ優占部で糞有り区は糞無し区の1.7倍、オーチャードグラス優占部では2.3倍の生産を示し、草地生産力の維持に対する排糞の貢献度は高い(図2)。また、低養分条件下では糞の有無にかかわらずオーチャードグラスよりもシバの方が高い乾物生産量を示す。 |