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アカウシアブ飛来密度の低い放野(東北農研、日中6時間に牛1頭当たり1以下)では、放牧牛はアカウシアブの加害行動に対して強い忌避を示しほぼ100%追い払う。一方、飛来密度の高い牧野(秋田県鹿角市川嶋牧野)では、慣れにより忌避の度合いが弱まるため、追い払い率が低下し、アカウシアブが飽血できる場合が増える(表1)。 |
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川嶋牧野のアカウシアブの幼虫生息地となる湿地を含むため成虫発生数が多い試験牧区の牛は、7月下旬から8月中旬のアカウシアブの多発期、風通しの良い林内でなく、アカウシアブから逃れるため、通気が悪く庇蔭効果が低いが外部から視覚的に完全に遮蔽されるブッシュを休息場所として利用する(図1)。 |
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幼虫生息地を含まず成虫発生数の少ない川嶋牧野の一般牧区の牛は、アカウシアブ多発期、試験牧区から300m以内の牧区の境界から見通せる場所には利用、発生期間外及び低密度時に利用する試験区側の庇蔭休息場所も利用しない(図2)。発生地から離れた場所で行動することにより、アカウシアブの飛来密度が試験牧区より低下するが、忌避の強さには差はない(表2)。 |
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一般牧区の牛が利用しなかった場所では、草が出穂後、枯死し草地の荒廃が認められる。 |
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アカウシアブ飛来密度の低い牧野では、牛はアカウシアブの加害行動に対して強い忌避を示すが、行動圏や庇蔭休息場所の変化は無い。一方、飛来密度の高い牧野では強い忌避行動は見られないが、行動圏や庇蔭休息場所の変化およびそれに伴う草地の荒廃が見られる。 |