| [背景・ねらい] |
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従来、東北地域の大麦は飼料用が主体であったが、麦の民間流通移行に伴い、飼料用大麦制度が廃止されるため、大麦は飼料用品種から食用品種への早急の転換が求められている。食用品種は、麦飯として米に混ぜて炊飯される場合が多く、炊飯白度が高いことが特に重要である。そこで、寒冷地向け高品質、早生・多収で炊飯適性の高い品種を育成する。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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| 1. |
大麦「シンジュボシ」は、早生・多収、耐寒雪性、良質を育種目標に、1991年度に東北農業試験場(現 東北農業研究センター)において、渦性、早生・短強稈で炊飯白度の高い「東北皮30号」を母とし、並性で極早生・短強稈の「シュンライ」を父として人工交配を行い、以降集団選抜法で選抜・固定を図ってきたものである。2001年度の世代は雑種第10代である。 |
| 2. |
「ミノリムギ」に比較して以下のような特徴を持つ(表1)。
| 1) |
播性はIVで、出穂期で3日、成熟期で2日程度早い早生の晩である。 |
| 2) |
稈長は同程度で、穂長はやや短く、穂数は少ない。 |
| 3) |
耐寒雪性、耐倒伏性は同程度のやや強で、耐凍上性は同程度の強である。穂発芽性はやや難で強い。 |
| 4) |
小さび病、うどんこ病、赤かび病は中で同程度である。 |
| 5) |
千粒重は大きく、リットル重はやや多い。外観品質は優れる。 |
| 6) |
搗精時間はやや短く、搗精白度は高い。 |
| 7) |
ポリフェノール含量はやや低く、炊飯白度は高い。 |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
東北の根雪期間80日以下の平坦地に適応する。高品質食用大麦の安定生産に寄与できる。 |
| 2. |
多肥栽培では倒伏や硬質粒の発生が多くなるので避けること。 |
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