研究所トップ研究成果情報平成14年度

シロクローバリビングマルチを用いたスイートコーン栽培の窒素減肥効果

[要約]
シロクローバを利用したスィートコーンのリビングマルチ栽培では、慣行栽培に比べ窒素の施肥量を2g/m2程度減らすことが可能である。
[キーワード]
  リビングマルチ、スィートコーン、シロクローバ、窒素減肥
[担当]東北農研・畑地利用部・作付体系研究室
[連絡先]電話024-593-5151、電子メールjuten@affrc.go.jp
[区分]東北農業・畑作物、共通基盤・総合研究
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
畑作農業においては、農薬や化学肥料に依存せず自然循環機能を活用した栽培技術の開発が求められている。そこで、無除草剤でも抑草効果が高くリビングマルチとして有望なシロクローバを用いてスィートコーンを栽培し、窒素のフローを慣行栽培と比較することにより、窒素減肥の可能性について明らかにする。
[成果の内容・特徴]
 
1. リビングマルチを利用したスィートコーンの栽培体系は、前年9月にシロクローバを播種し、翌年5〜6月に刈り取った後、スィートコーンを不耕起栽培するものである。スィートコーン畦間のシロクローバは、播種約4週間後に刈り取る(図1)。
2. リビングマルチ栽培では、スィートコーンの窒素吸収量の約27%がシロクローバ残さから供給されている。また、シロクローバの窒素吸収量のうち約74%が大気窒素由来である(図2)。
3. 窒素溶脱量は、リビングマルチ栽培で慣行栽培より小さい(図3)。
4. 窒素フローから推定されるリビングマルチ栽培の土壌からのアウトプット(スィートコーンの窒素吸収量+シロクローバの窒素吸収量+溶脱量)は10.3g/m2、慣行栽培の土壌からのアウトプット(スィートコーンの窒素吸収量+溶脱量)は12.3g/m2であり、両者の差から計算されるリビングマルチ栽培の慣行栽培に対する窒素の減肥量(施肥量20.0g/m2時の理論値)は2.0g/m2である(図4)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 窒素施肥量、作付体系、土壌・気象条件等により窒素フローの数値は変動する。
2. シロクローバによるリビングマルチ栽培の抑草効果については、平成12年度の成果情報で報告しており、本成果情報と併せて、リビングマルチ栽培は環境負荷の小さい栽培技術として有望である。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: リビングマルチを利用した環境負荷低減型野菜栽培技術の開発
予算区分: パイオニア
研究期間: 2000〜2002年度
研究担当者: 三浦重典、小林浩幸、長谷川浩、小柳敦史、渡邊好昭
発表論文等: 三浦・渡邊 (2002) 日作紀 71:36-42.