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平成14年度
生育調節物質を用いたトマトの高温による着果不良の軽減
[要約]
トマトは高温によって着果不良を引き起こすが、その着果不良は着果促進剤である4-CPA(パラクロロフェノキシ酢酸)液剤単独処理よりも、ジベレリン水溶剤との混合処理によってさらに軽減される。
[キーワード]
高温、生育調節物質、トマト、着果
[担当]東北農研・野菜花き部・野菜花き栽培研究室
[連絡先]電話019-641-9246、電子メール
hsasaki@affrc.go.jp
[区分]東北農業・野菜花き(野菜)、野菜茶業・野菜栽培生理
[分類]科学・参考
[背景・ねらい]
夏秋季における雨よけトマト栽培は、気象災害の回避や果実品質の向上を図ることができるが、その一方で高温によるとみられる着果不良が問題となっている。そこで、高温による着果不良と生育調節物質処理との関係について明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1.
着果率(花房の着花数に対する着果数の割合で示す)は昼温34℃の高温条件によって低下する。第1花房の第3花開花時に第1花房を4-CPA液剤20ppm水溶液に浸漬処理すると着果率は上昇し、4-CPA液剤とジベレリン水溶剤の混合溶液への浸漬処理によって高温による着果率の低下がさらに軽減される(
表1
)。
2.
混合処理する生育調節物質濃度は、本実験の範囲では4-CPA液剤の最終濃度5から20ppmとジベレリン水溶剤の最終濃度20ppmの組み合わせで着果率が高い(
図1
)。
3.
雨よけ栽培では、雨よけハウス内の花房付近温度の方が日最高気温よりも高温になる場合がみられる(
図2
)。
4.
雨よけ栽培での実験では、4-CPA液剤単独処理、あるいは4-CPA液剤とジベレリン水溶剤の混合処理によって着果率が上昇する。4-CPA液剤単独処理は混合処理に比べて空洞果や尻腐れ果が多く、混合処理の方が着花数に対する健全果数の割合が高い(
図3
)。
[成果の活用面・留意点]
1.
トマトの高温障害対策として有効な技術開発の基礎的知見となる。
2.
4-CPA液剤とジベレリン水溶剤は、それぞれトマトの着果促進、空洞化防止の目的として登録されているが、使用方法等は本実験と異なっている。
[具体的データ]
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[その他]
研究課題名:
トマト等の夏秋季における温度障害の解析
予算区分:
交付金
研究期間:
2000〜2002年度
研究担当者:
佐々木英和、矢野孝喜、山崎篤