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こしあぶらの抗酸化成分とその含量を高める促成栽培法

[要約]
こしあぶらの主要な抗酸化成分はクロロゲン酸である。その含量に関わる要因は、温度、光、穂木の大きさである。促成栽培では遮光下で長さ30〜40cmの穂木を10〜15℃の水に挿すことによって、抗酸化成分が多く外観品質も良い若芽が収穫できる。
[キーワード]
  抗酸化成分、クロロゲン酸、こしあぶら、促成栽培
[担当]東北農研・畑地利用部・畑作物栽培生理研究室
[連絡先]電話024-593-6174、電子メールmurat@affrc.go.jp
[区分]東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
こしあぶらの若芽は独特の香りがあって食味の良い山菜として珍重されている。一部で販売もされ始めているが、量が少ないこともあって一般消費者の認知度は必ずしも高くない。そこで、こしあぶらの生理機能性を明らかにすることによって消費者の関心を高め、その成分を多く含む栽培法を確立することによって東北地方での特産化に資する。
[成果の内容・特徴]
 
1. こしあぶらの若芽は高い抗酸化活性を示す。液クロによるCoulochem、PDA分析およびMSの結果から、その主たる成分はクロロゲン酸である(図1)。
2. こしあぶら穂木からの若芽の生育条件をグロースキャビネットで調査したところ、最も影響が大きいのは温度(昼/夜)で、30/20℃では収穫できる大きさまで生長せずに枯死する。また、最も良い温度条件の20/10℃でも、強光下では収量が低下する。30μmol/s/m2程度の光強度が最適である(図2)。
3. ハウスで遮光下水挿しして促成栽培する場合、最も重要なのは水温である。10℃が最適で20℃では収量が大幅に低下し、クロロゲン酸の含量も少なくなる。15℃では穂木の大きさも重要で、試験で用いた径1cmの穂木の場合30cm以上の長さが必要である。穂木が大きいほど若芽長も大きくなり、外観品質が向上する(表1)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 増殖は6月(福島において)に緑枝挿しをすることによって可能であるが、発根率は50%程度でその後の生育も未確認である。
2. こしあぶら若芽のクロロゲン酸含量は、4℃保存では収穫10日後でもほとんど変動しない。また、調理(天ぷら)による損失もほとんどない。
3. 穂木は降雪前の11月に採取し、促成栽培開始時(2月中旬)までポリフィルムに包んで4℃で冷蔵した。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 地域特産物の機能性を活かした高付加価値化技術の開発
予算区分: 農村経済活性化
研究期間: 1999〜2002年度
研究担当者: 村山 徹、箭田浩士