研究所トップ研究成果情報平成14年度

秋田県におけるリンゴ病害に対する散布回数の削減モデル

[要約]
残効期間の長い殺菌剤と固着性展着剤の利用により、年間の散布回数を8回とした防除体系で、リンゴの主要病害が防除できる。
[キーワード]
  リンゴ病害、散布回数削減、展着剤
[担当]秋田果樹試・環境部・病害担当
[連絡先]電話0182-25-4224、電子メールafbyori@pref.akita.jp
[区分]東北農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
秋田県のリンゴ病害に対する平均防除回数は10〜11回であるが、農産物の安全・安心志向にともない減農薬防除体系が求められている。そこで、年間散布回数を8回とした病害防除体系を組み立て、その実用性を検討する。
[成果の内容・特徴]
 
1. 年間の殺菌剤散布回数を8回にした散布体系モデル(図1)の使用薬剤は以下の通り。
2. ポリオキシエチレン樹脂酸エステル×2,500加用TPN(53%)FL×1,000を場内圃場の「千秋」に2週間間隔で連続2回散布し、その45日後に収穫した果実のTPN残留量は残留基準値(5ppm)以下である。
3. 葉については黒星病、うどんこ病および赤星病の発生は見られず、斑点落葉病、褐斑病は少〜中程度の発生(図2)であり、落葉被害は認められなかった。
4. 果実についてはすす斑病、炭疽病、輪紋病や黒点病、斑点落葉病の発病も無〜わずかな発生量であり、高い防除効果が認められた(図2)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 慣行防除体系に比較すると散布回数が2割削減でき、フェロモン剤利用技術を併用することにより「持続性の高い農業生産方式の導入に関する法律(持続農業法)」に関する秋田県導入指針に適合できる。
2. 早生品種に散布される場合には、収穫予定日から14日以上前に8回目散布を行う。
3. 薬液が樹全体に付着しないと、防除効果が劣る。
4. 斑点落葉病に対しては本体系下で「王林」に防除効果がやや劣る試験事例があったため、斑点落葉病り病性品種では発生に応じて本病防除剤の使用を考慮する。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: リンゴ病害の低コスト型新防除体系の確立
予算区分: 県単
研究期間: 1998〜2002年度
研究担当者: 佐藤 裕、水野 昇、深谷 雅子
発表論文等: なし