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スプレータイプ小ぎく品種「CM系」4品種の育成とその特性

[要約]
2002年に育成を完了した「CM系」4品種は、従来品種より側枝や孫芽が少ない岩手県の立地条件に適合したスプレータイプの小ぎく品種である。
[キーワード]
  品種、スプレータイプ、小ぎく、「CM系」
[担当]岩手農研セ・園芸畑作部・花き研究室
[連絡先]電話0197-68-4419、電子メールCE0008@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・野菜花き(花き)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
岩手県の小ぎくは北上市及び東磐井郡を中心に県下全域で栽培されており、2001年度には生産額が約3.7億円、作付面積は約61haと主要な花き品目の1つになっている。現在、栽培に用いられている種苗会社の品種は県外気象下で選抜、育成されたものであるため、岩手県の気象に適さない品種もある。
また、小ぎくに対する消費者の嗜好動向は変化しており、従来の品種より側枝や孫芽の少ない、スプレー咲きで緑芯の小ぎく品種の人気が高い。
既に岩手県では、「CM系」品種として2000年〜01年に5品種を育成し、「アイマム」の名称をつけて品種登録申請を行っているが(1)、これらの品種と同様に、側枝や孫芽の少ないスプレータイプであること、花色が良いことを目標とし、本県の立地条件に適合したオリジナル品種を選抜、育成する。
[成果の内容・特徴]
 
1. 「CM5」は「玉虫」に「めだか」を交雑し、実生株から選抜、育成した品種である。9月中〜下旬に開花し、舌状花色は黄色、花盤は黄緑色である。葉色は淡く、茎の強度は中程度であり、花房形は円錐形で頂花が下がる(表1表2図1)。
2. 「CM10」は「Y‐2」に「アビヨン」を交雑し、実生株から選抜、育成した品種である。10月中旬に開花し、舌状花色は白色、花盤は緑色である。葉色は中程度、茎の強度は強く、花房形は円筒形である(表1表2図1)。
3. 「CM12」は「はじめ」に「紅とんぼ」を交雑し、実生株から選抜、育成した品種である。7月中〜下旬に開花し、舌状花色は赤紫色、花盤は黄緑色である。葉色及び茎の強度は中程度であり、花房形は円筒形で頂花が下がる、または円錐形で頂花が下がる(表1表2図1図2)。
4. 「CM15」は「白舟」に「みのる」を交雑し、実生株から選抜、育成した品種である。7月下旬〜8月上旬に開花し、舌状花色は白色、花盤は黄緑色である。葉色は濃く、茎の強度は中程度であり、花房形は円筒形で頂花が下がる、または円錐形で頂花が下がる(表1表2図1図3)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 「CM5」は草勢が強い傾向がみられるので4本仕立てを基本とするが、作付地の地力及び栽植様式によっては3本仕立てとする。
2. 「CM5」の適用地帯は岩手県下全域、「CM10」「CM12」「CM15」の適用地帯は岩手県中南部及び沿岸部である。
3. 各品種の定植期は、「CM5」は5月下旬、「CM10」は6月中旬、「CM12」及び「CM15」は4月下旬である。
4. 気象条件やマルチの有無、施肥量等の栽培条件によっては開花期が前後する。
5. 病害虫防除(白さび病等)は慣行通り実施する。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: ニュータイプ小ぎくの品種育成
予算区分: 県単
研究期間: 1989〜2006年度
研究担当者: 佐々木由紀子、高橋寿一、内藤善美、渡辺愛美、児玉勝雄、小田島雅
発表論文等: (1) 「アイマムアーリーイエロー」「アイマムホワイト」「アイマムホワイトピーチ」「アイマムピンク」
「アイマムイエロー」:2002年3月15日付けで品種登録申請済み
(2)今回育成した4品種は「アイマム」の名称をつけて2003年3月に品種登録申請予定