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ツルウメモドキ、ノイバラの挿し木繁殖法

[要約]
ツルウメモドキの挿し木方法は密閉挿しが良く、挿し床には含水率の低い山砂が適している。挿し木部位は枝の中央部分を用いると発根が良い。ノイバラの挿し木方法はミスト挿しが良く、用土を選ばずに良く発根する。挿し木部位は枝の先端を用いると発根が良い。
[キーワード]
  ツルウメモドキ、ノイバラ、栄養繁殖、挿し木
[担当]福島農試・いわき支場
[連絡先]電話0246-34-2348、電子メールiwaki@ht-net21.ne.jp
[区分]東北農業・野菜花き(花き)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
自生枝物のツルウメモドキ、ノイバラは生け花などの花材として近年需要が高まっている。しかし、これら自生枝物は種苗の確保が難しいため栽培事例は少なく、多くは山採りをして出荷されている。このため、今後産地の育成強化には効率的な増殖技術の開発が必要である。そこで挿し木による自生枝物の増殖方法を確立する。
[成果の内容・特徴]
 
1. ツルウメモドキは挿し木方法として密閉挿しが適しており、その際には挿し床に含水率の低い山砂を用いることにより、適量発根の割合が高くなる(表1および表2)。
2. ノイバラはミスト挿しが最も適しており、挿し床の種類にかかわらず、良く発根する。密閉挿しの場合は、挿し床に含水率の高い鹿沼土とピートモスを混合した用土を用いることにより、適量発根の割合が高くなる(表1および表2)。
3. ツルウメモドキでは、挿し木部位に枝の中央部分を用いることで適量発根の割合が高くなり、ノイバラでは、挿し木部位に枝の先端部分を用いることで適量発根の割合が高くなる(表3)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 挿し木用土は、山砂および鹿沼土とピートモス混合用土と同等の含水率の用土が使用可能である。
2. 挿し木時期を7月とすると新梢が伸長する時期で挿し穂が得やすく、成苗となる頃が定植適期と重なるため、効率良くほ場展開できる。
3. ツルウメモドキにおいては、従来、根伏せによる増殖が一般的であったが、挿し木繁殖によって、より簡易で効率的に増殖可能となった。
4. ツルウメモドキは雄雌異株である。市場性があるのは実のなる雌株であるので、増殖の際は雌株を選ぶようにする。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 枝物類の適品目の選定と安定栽培技術の確立
予算区分: 国庫補助
研究期間: 2000〜2001年度
研究担当者: 諏訪理惠子、矢吹隆夫