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「定義法」を用いた地域特産ソフトクリームの商品開発方向の解明

[要約]
顧客価値を簡易に把握する方法として提唱されている「定義法」により、ソフトクリームについての顧客価値を解析した。地域特産品としてのソフトクリームでは、消費者の健康志向に配慮した「カロリー控えめ」、さらには、「コーンのおいしさ」にまで気を配ったものが、差別化商品づくりに際してのひとつの切り口となる。
[キーワード]
  マーケティング、定義法、顧客価値、地域特産品、ソフトクリーム
[担当]秋田農試・経営計画部・地域計画担当
[連絡先]電話018-881-3312、電子メールs-kiyono@agri-ex.pref.akita.jp
[区分]東北農業・経営
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
商品開発や既存商品の改善をはじめとして、消費ニーズや顧客価値を把握することの重要性が認識されている。そうした中、より簡易な方法による顧客価値把握への期待も高い。本研究では、地域特産品の重要な販売経路である「道の駅」の定番商品であるソフトクリームを事例として、「定義法」による顧客価値の把握と差別化商品づくりのための方向性を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
 
1. 「定義法」は、対象となる商品を消費者に自由に定義してもらう方法で、アンケート調査における選択肢設定を行わなくてもよいというメリットを持つ(表1)。
2. 現在、消費者がソフトクリームに対して十分に満足できていない顧客価値は、図1の対角線より上に位置する。具体的には、「美味しさ」「味が濃い」「なめらかさ」などの価値に対して消費者は十分に満足していない。
3. 消費者のソフトクリームに対する顧客価値をランキング化したところ、消費者が何をソフトクリームの価値と考え、欲しがっているのかを示す総合指標では、「美味しい」「カロリー控えめ」「味が濃い」「コーンがおいしい」などの数値が高い(図2)。
4. 地域特産品としてのソフトクリームの、理想のソフトクリームに対する評価を図1では円(○印)の大きさで示した。これによると、「地域の原材料を使用」という価値では高い評価を得ている。また、「味の濃さ」「美味しさ」の面でも消費者が理想とする価値についてはほぼ満たされている。しかし、「コーンがおいしい」「カロリー控えめ」といった価値については十分ではない。
5. したがって、地域特産品としてのソフトクリームにおいては、地域産原材料を使用するだけなく、消費者の健康志向に配慮した「カロリー控えめ」のソフトクリーム、さらには、「コーンのおいしさ」にまで気を配ったソフトクリーム、が差別化商品づくりに際してのひとつの切り口となる。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 地域特産品としてのソフトクリームの商品開発に取り組む際の参考になる。
2. 今回の「定義法」では、消費者は地域特産品としてのソフトクリームについても、一般的に理想とするソフトクリームと同じ価値を求めていると仮定している。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 中山間地域における産地マーケティングに基づく特産的高付加価値農産物の生産技術
予算区分: 国補(地域基幹)
研究期間: 2002年度
研究担当者: 清野誠喜
発表論文等: 清野(2002)東北農業経済学会 個別報告要旨集