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イチゴ育苗期における減農薬栽培病害虫防除モデル体系の経済性評価

[要約]
イチゴ苗生産における減農薬栽培病害虫防除モデル体系の導入は、慣行防除体系に比べ労働時間が68.3時間短縮することになり、それにともなう苗生産費用22,525円の低減につながる。
[キーワード]
  イチゴ、減農薬栽培、育苗
[担当]福島農試・経営部・経営研究室
[連絡先]024-932-7788、電子メールmiyajima_satoshi_01@pref.fukushima.jp
[区分]東北農業・経営
[分類]行政・参考

[背景・ねらい]
現在、環境や農産物の安全に配慮した持続的な農業の推進が求められ、環境保全型栽培技術の一つのタイプとして化学合成農薬の使用量を半減させる減農薬栽培の開発が行われている。イチゴ苗生産の慣行防除体系(以下、慣行防除)は、親株を露地で栽培管理し化学合成農薬を用いて生産されている。これに対し、試験研究から構築された減農薬栽培病害虫防除モデル体系(以下、モデル体系)は、病害に対しては耕種的防除法(親株の高設ベンチ栽培等)と糸状菌製剤を、害虫に対しては天敵製剤の利用と化学合成農薬を組み合わせて防除を行うことで、化学合成農薬の使用量を半減させることができる。この構築されたモデル体系の経済性を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
 
1. イチゴ苗生産におけるモデル体系は、親株の高設ベンチ栽培と糸状菌製剤を延べ4成分、天敵製剤を5回放飼することにより、化学合成農薬を成分数で殺菌剤延べ2成分、殺虫剤延べ2成分と慣行防除に比べ大幅に削減される(表1)。
2. 労働時間は、モデル体系を導入することで慣行防除より68.3時間削減する(表2)。
3. 防除費用は、モデル体系では76,361円となり、慣行防除と比較して33,991円の増額となる。これは、防除のための労働費と光熱動力費は低減するが、農業薬剤費が増加するためである(表3)。
4. 本ぽ10aに必要なイチゴ苗を生産する費用は、慣行防除での生産費用より22,525円低減する(表4)。これは、モデル体系では、園芸施設費、糸状菌製剤、天敵製剤を使用するため農業薬剤費が増額するが、労働費が低減するためである。
[成果の活用面・留意点]
 
1. イチゴ苗生産における環境保全型栽培技術の普及にあたっての参考資料となる。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 環境保全型農業技術体系の確立
予算区分: 国庫補助・地域基幹
研究期間: 2000〜2002年度
研究担当者: 福島農試・宮島聡、新田耕作