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代かき同時打込み点播で適正な播種深さを確保するための露出種子の割合

[要約]
寒冷地における代かき同時打込み点播では、適正な深さに播種するため打込み強さの調整が非常に重要であり、その指標として、播種直後の代かき土壌表面露出種子の割合が利用できる。
[キーワード]
  代かき同時土中点播、播種深さ、打込み強さ、露出種子、水稲湛水直播
[担当]青森農試・栽培部
[連絡先]電話0172-52-4396、電子メールeiji_sakaiya@ags.pref.aomori.jp
[区分]東北農業・作業技術
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
寒冷地における直播栽培では、出芽期間の気温が低いために播種深さが深いと苗立ちが不安定になりやすく、適正な深さに播種することが非常に重要である。代かき同時打込み点播では播種時の打込み強さを同じに設定しても、土壌条件や播種時の水深によって播種深さに差が生じるため、打込み強さの調整が必要となる。そこで、打込み強さ調整のための簡易な指標を策定する。
[成果の内容・特徴]
 
1. 播種直後に田面を真上から観察し、一部でも種子が観察できる種子を露出種子とする。その露出種子の割合から、適正な播種深さにある種子の割合が推定可能である(図1)。
2. 適正な播種深さを得るための播種直後の露出種子の割合は、40〜60%である(図1)。
露出種子の割合がこれより高い場合は打込み強さ調整ダイヤルを上げ、低い場合はダイヤルを下げて打込み強さを調整する。
3. 播種直後の露出種子の観察は、播種時の水深がおよそ1.5cm以内であれば可能である(表1)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 代かき同時土中点播栽培の苗立ちが安定する。
2. 播種機の設定及びカルパーコーティング条件等により播種粒数が異なることから、播種前に株当たり播種粒数を把握したうえで、株当たり露出種子数の目安を設定する。
3. 本成果は、乾籾重の2倍量でカルパーコーティングした種子を使用し、播種後直ちに落水管理を行う場合に適用可能である。
4. 本成果は、目標とする播種深さが0.5〜1.0cmの場合に適用可能である。
5. 土壌条件は、埴壌土での結果である。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 播種床条件と出芽・苗立性、土壌条件と株形成の安定化
予算区分: 国庫・地域基幹(北部水稲)
研究期間: 2001〜2002年度
研究担当者: 境谷栄二、野沢智裕、成田真樹、木村利行