[背景・ねらい] |
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だいず不耕起栽培は、播種前の耕起・砕土作業を省略できること、地耐力の維持により降雨による播種作業の遅れが少ないこと、中耕・培土作業の省略による収穫時汚粒発生の軽減、等のメリットがある。これに対応した不耕起方式の播種機については複数メーカー方式で開発が進められてきており、一部は麦等で導入されつつある。そこで、だいずの不耕起播種に利用可能な3タイプの播種機について検討し、作業特性を明らかにする。 |
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[成果の内容・特徴] |
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1. |
だいず栽培における不耕起播種機の作業特性(表1、2)
1) |
大豆用不耕起播種機は、高能率であり条間設定の変更可能、悪条件での作業適応性が高いが、大型トラクタが必要で、運搬に難があり、大区画ほ場や大規模な転作団地に適する。多雨滞水時の発芽不良・茎疫病対策のため前年の秋期に耕うんを行う。 |
2) |
乾田不耕起直播機は、部分耕方式のため覆土が良好で発芽障害も比較的少ないが、硬い土壌にはやや不向き。狭畦30cm条間設定で、麦への汎用利用に適する。 |
3) |
不耕起直播機は、比較的安価でサイズもコンパクトであり、大区画以外にも中山間地の中小区画ほ場に適する。条間設定は狭畦30cmのみ。ワラ等の作物残さが多く、降雨直後等で水分が高い場合には作業上の障害が発生しやすい。 |
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2. |
だいず栽培における不耕起播種機の作業可能面積及び経費比較(表2、図1)
各播種機の年間作業可能面積は、播種期を6月上中旬の20日間とした場合、45ha〜69haである。いずれの機種も、慣行の播種機より価格は高いものの、慣行体系で要する中耕培土(中耕培土機+乗用管理機)に係る経費が不要であり、集団転作等の大規模栽培においては、慣行並〜下回る経費での導入が可能である。 |
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[成果の活用面・留意点] |
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1. |
各播種機とも、だいず以外に水稲(乾田直播)、麦、そば等の播種にも汎用利用可能であるが、本成果の内容はだいず不耕起栽培のみを対象とした場合の結果である。 |
2. |
だいず不耕起栽培では、表面滞水により発芽不良や、滞水+低温条件で茎疫病等が出やすいため、ほ場の排水対策が導入の必須条件となる。最低限、作土層より深い額縁明きょ+ほ場外への排水誘導が必要。できるだけ前年秋期耕うん体系が望ましい。 |
3. |
だいず不耕起栽培法については平成13年度岩手農研セ試験研究成果「大豆不耕起栽培における生育・収量及び栽培特性」を参考とする。 |
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