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良質・良食味・耐冷水稲新品種「青系135号」の育成

[要約]
水稲「青系135号」は、育成地では中生に属する粳種である。品質・食味が良好で、耐冷性が強いことから、群馬県で認定品種に採用された。
[キーワード]
  水稲、青系135号、品質、食味、耐冷性、認定品種
[担当]青森農試・育種部
[連絡先]電話0172-52-4312、電子メールyoichi_kawamura@ags.pref.aomori.jp
[区分]東北農業・水稲
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
群馬県の標高700〜850mの高冷地帯は、冷害の危険頻度が高く、耐冷性の強い品種が必要とされている。この地帯では、奨励品種として「まいひめ」が作付けされているが、食味向上の要望が強く、「まいひめ」並の熟期で、耐冷性と良食味を兼ね備えた品種が求められていた。
[成果の内容・特徴]
 
1. 「青系135号」は、中生の良質・良食味品種の育成を目標に、1992年に青森県農業試験場において、「山形40号」を母、「青系113号」を父として人工交配を行った後代から、葯培養を利用して育成された品種である(表1)。
2. 育成地では、出穂期・成熟期ともに「つがるロマン」より1日早い、中生の粳種である(表1)。
3. 稈長・穂長・穂数は「つがるロマン」並で、中短稈・偏穂重型である。止葉の長さはやや短く直立する。稈は「つがるロマン」よりやや太く、倒伏抵抗性は「つがるロマン」より強い。粒着密度は“やや密”で、中程度に短芒を生じ、ふ先色は“黄白”である(表1)。
4. 障害型耐冷性は「つがるロマン」より強い“極強”である。いもち病抵抗性は、真性抵抗性遺伝子型が“Pii”と推定され、圃場抵抗性は葉いもち・穂いもちともに「つがるロマン」並の“やや強”である。穂発芽性は「つがるロマン」より発芽しにくい“難”である。収量性は標肥区では「つがるロマン」よりやや低いが、多肥区では高い(表1)。
5. 玄米千粒重は「つがるロマン」よりやや軽い。玄米品質は、腹白や乳白の発現が少なく、「つがるロマン」並の“上中”である。食味は「つがるロマン」並の“上中”である(表1)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 群馬県で認定品種に採用され、「まいひめ」に替えて標高700〜850mの高冷地帯で普及が見込まれる。普及見込み面積は約50haである。
2. いもち病抵抗性は“やや強”であるが、基準防除を励行する。
3. 障害型耐冷性は“極強”であるが、幼穂形成期の低温時には深水管理を実施し、幼穂の保護に努める。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 第II期水稲良食味品種早期開発事業
予算区分: 県単
研究期間: 1992〜2001年
研究担当者: 三上泰正、高舘正男、横山裕正、小林渡、舘山元春、前田一春、川村陽一、中堀登示光、小山田善三
発表論文等: 三上ら(2002)東北農業研究54:1-2.