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播種後落水管理は土壌処理型除草剤の水稲生育に与える影響を軽減する

[要約]
水稲湛水土中直播栽培において、苗立ちを安定化させるために行う播種後落水管理は、土壌処理型除草剤の水稲に対する影響を軽減して苗立歩合を高め、稲体乾物重増加を安定化する。
[キーワード]
  水稲湛水土中直播、落水管理、土壌処理型除草剤、苗立歩合、稲体乾物重
[担当]宮城古川農試・水田利用部・水稲栽培生理チーム
[連絡先]電話0229-26-5106、電子メールPaddyg@faes.pref.miyagi.jp
[区分]東北農業・水稲・直播
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
これまで湛水土中直播栽培における播種後水管理は湛水管理であったが、苗立の安定を目的として播種後落水管理が普及してきた。播種後落水管理では、落水により一旦作土表面に亀裂が入るなど、湛水後の除草剤処理時の作土条件が湛水管理の場合と異なることが考えられる。このため、播種後水管理の違いで土壌処理型除草剤の水稲に対する影響が異なるか検討した。
[成果の内容・特徴]
 
1. 播種後落水管理は、湛水管理と比較して正常苗率が高く、斜め苗・転び苗・浮き苗率が低下する(表1)。
2. 播種後落水管理では、土壌処理型除草剤処理時の正常苗率が無処理とほぼ同程度であり、湛水管理と比較して処理による影響が小さい(表1)。
3. 播種後落水管理は、湛水管理と比較して土壌処理型除草剤の水稲生育に与える影響を軽減して苗立歩合を高め、稲体乾物重増加を安定化する(図12)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 直播用除草剤について播種後落水管理における実用性を圃場レベルで確認・実証する必要がある。
2. 播種後落水管理を前提として、湛水管理では水稲への影響が懸念された土壌処理型除草剤であっても湛水土中直播栽培に今後適用できる可能性がある。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 寒冷地北部地域における超省力水稲生産技術と地域農業システムの確立
予算区分: 国助成・地域基幹(北部水稲)
研究期間: 1999〜2002年度
研究担当者: 酒井博幸、吉田修一、山本晶子、長田幸浩、神名川真三郎
発表論文等: 酒井・吉田・山本ら(2002)東北の雑草2:17−23
http://wsstj.ac.affrc.go.jp/mokuji2.html