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越冬芽利用によるエゾリンドウの増殖法

[要約]
りんどう採種用親系統において、萌芽した芽の節を含むディスクを材料として用いることにより、増殖が可能となった。
[キーワード]
  エゾリンドウ、越冬芽、不定芽増殖
[担当]岩手農研・農産部・応用生物工学研究室
[連絡先]電話0197-68-4414、
[区分]東北農業・生物工学
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
これまでにエゾリンドウの増殖手法として、葉片培養、液体振とう培養による増殖法を開発している。しかし、系統間差だけでなく個体差もあるため、増殖手法の選択ができるよう、越冬芽を利用した増殖法の検討を行った。
[成果の内容・特徴]
 
1. エゾリンドウの葉片培養による増殖法の手法を用いて、萌芽した芽(りん片葉が展開している状態、15℃、16時間日長下で越冬芽形成後、2カ月程度で萌芽する)のディスクを材料とした場合において不定芽形成がみられた(表12図1)。
2. 北海道系、吾妻系、千沼ヶ原系、松尾系、矢巾系、磐梯系、えぞ早生系の7系統においてこの方法により不定芽形成が可能であった(表3)。
3. 現在本法により増殖した個体を圃場で育成中であるが、形状等の培養変異は認められない(表4)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 越冬芽については、萌芽していない状態のものを使用すると、カルス形成が安定しないため、萌芽したものを使用する(表2)。
2. エゾリンドウの増殖法の手法として、葉片培養、液体振とう培養、越冬芽を使った培養がある。今後、各系統に最も適した増殖法を提示していく予定であるが、系統間差の他に個体差もあるため、選んだ手法に適さない場合も考えられる。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: えぞりんどうの組織培養による維持、増殖システムの確立
予算区分: 県単
研究期間: 2002〜2006年度
研究担当者: 星伸枝、多田徹、仲谷房治、阿部潤
発表論文等: 1)多田・星ら(2000)育種学研究2(別1)183
2)星・阿部ら(2002)育種学研究4(別1)103