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DNA鑑定による新奨励米「めんこいな」の品種判別技術

[要約]
STS−PCR法により、平成12年度導入新奨励品種「めんこいな」の精白米1粒からの品種判別法を開発し、明確な秋田県奨励米の品種判別が可能である。
[キーワード]
  DNA鑑定、めんこいな、STS−PCR法、精白米1粒、品種判別法
[担当]秋田県総合食品研究所・生物機能部門・生物機能第一担当
[連絡先]電話018-888-2000、電子メールhironobu@arif.pref.akita.jp
[区分]東北農業・生物工学
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
国内の米流通の多様化が進み、品質や食味が一層重視される中、「めんこいな」が秋田県の新奨励品種として登録され平成12年度産米から出荷され始めた。「めんこいな」は「ひとめぼれ」と「あきた39」から秋田県農業試験場が育種開発した新食感タイプの米で、流通、加工業界からも大きな関心が寄せられている。そこで、本研究では既に開発されているSTS(Sequence Tagged-Site)−PCR法による「あきたこまち」1粒品種判別技術(平成10年に実用化)を応用して、「めんこいな」についても品種判別技術の開発と判別法の高精度化を行い、実用化への検討を行った。
[成果の内容・特徴]
 
1. 秋田農試より提供された「めんこいな(秋田59号)」と奨励品種である「あきたこまち」、「キヨニシキ」、「トヨニシキ」、「ササニシキ」、「たかねみのり」、「あきた39」、「でわひかり」、および「ひとめぼれ」について判別を行った。また、参考品種として新潟県農試より提供の「コシヒカリ」、市販の「日本晴」についても判別を行った。
2. 判別マーカーARIF3のDNA配列を品種ごとに比較し、DNA欠損部分および結合部分に新たにプライマーを作成した。
3. 反応温度等のPCR条件を最適化することにより、ARIF3aタイプ、およびbタイプのマーカーを別々に増幅させることができる。(図BC
4. 新規マーカーにより、さらに簡便かつ高精度な品種判別が可能である。(
5. 本技術開発により、「めんこいな」についても「ひとめぼれ」、「あきた39」、および「あきたこまち」等と同様に秋田県奨励米の明確な品種判別が可能である。(
[成果の活用面・留意点]
 
1. 秋田県奨励米全品種の判別技術が確立された。
2. 奨励品種以外(県外の品種等)の判定には検討を要する。
3. JA全農秋田に技術移転を行い、平成14年6月より実用化されている。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 県産米の品質向上に関する遺伝子工学的研究
予算区分: 県単
研究期間: 1998〜2002年度
研究者: 小笠原博信、高橋砂織
発表論文等: 1)小笠原・高橋(2000)食科工47(8):632-637
2)小笠原(2002)生物工80(8):342