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トルコギキョウにおけるアグロバクテリウム法による遺伝子組換え技術

[要約]
トルコギキョウの無菌植物の上位葉片を材料として、アグロバクテリウム法を用いて、組換え体の作出が可能である。
[キーワード]
  トルコギキョウ、アグロバクテリウム法、組換え体
[担当]山形園試・バイオ育種部
[連絡先]電話0237-84-4125、電子メールisuzugawak@pref.yamagata.jp
[区分]東北農業・生物工学
[分類]科学・普及

[背景・ねらい]
トルコギキョウは近年生産量が急激に増加し、それにともない灰色かび病やウイルス病などが問題となっている。そこで、交雑育種では困難な灰色かび病やウイルス病に対する抵抗性を付与するため、遺伝子組換え技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
 
1. トルコギキョウ(品種:バイカラーパープル)の種子を常法により無菌播種し、無菌植物を育成する。Agrobacterium tumefacience(系統:EHA101)を用い、外来遺伝子(pIG121-Hm)を導入する(図1)。
2. アグロバクテリウム感染から組換え体が再分化するまでの期間は、約3ヶ月である。形質転換効率は数%である。
3. 選抜マーカーとしてハイグロマイシン耐性遺伝子を用いることでエスケープの発生を抑えることができる。
4. サザン分析より得られた組換え体には外来遺伝子が検出される(図2)。
5. カリフラワーモザイクウイルス35SプロモーターによりGUS遺伝子を発現誘導した場合、組換え体葉片においてGUS活性が検出される(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  品種としてバイカラーパープルを供試した結果であり、その他の品種については検討を要する。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 遺伝子組換えによる耐病性遺伝子、花持ち性向上遺伝子導入作物の開発
予算区分: 国 庫(先端技術)
研究期間: 1997〜2002年度
担当研究者: 五十鈴川寛司
発表論文等: 五十鈴川ら(2002)山形園試研報14:1-11