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セルトレイとペーパーウイックを用いたアスパラガスの発根培養技術

[要約]
アスパラガスの発根培養にセルトレイとペーパーウイックを用いる方法は、洗浄時の脱落根を減少させ、順化効率を向上させることができる。
[キーワード]
  アスパラガス、セルトレイ、ペーパーウイック、耐久性
[担当]福島農試・育種班・バイテク・園芸育種研究室
[連絡先]電話024-932-7790、電子メールsuzuki_takako_01@pref.fukushima.jp
[区分]東北農業・生物工学
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
アスパラガス側芽培養系は、側芽からシュートを形成させた後、ゲルライト濃度1%の培地で初期の発根を促し、さらにゲルライト濃度0.2%の培地で根を伸長させる3段階から成る。本培養系で形成されるアスパラガスの根は組織的にもろく、順化の際の洗浄で根が脱落して成苗率が低下する。そこで、順化効率を向上させるため、発根培養方法について検討する。併せて、培養時に使用するセルトレイの耐久性を検討する。
[成果の内容・特徴]
 
1. 根が約5mmに伸長した側芽由来のアスパラガス幼植物体を用いる。
2. 発根培養方法は、セルトレイとペーパーウイックを入れたプラントボックスにMS培地(ショ糖3%、pH6.0)を70ml注ぎ、幼植物体を移植して、25℃、2,000lux、18時間照明で1ヵ月間培養する。
3. セルトレイ(448穴、ポリプロピレン製)は、9穴(長さ56×幅56×高さ15mm)で切断して使用する(図1)。
4. ペーパーウイックは、ろ紙を長さ30×幅10mmに切断し、中央に直径5mmの穴を開けて半分に折り曲げ、セルトレイに入れて使用する(図1)。
5. セルトレイとペーパーウイックを併用する方法(図1)は、慣行法と同等の発根量を確保できる(表1図2)。さらに、本法は慣行法と比較して植物体の洗浄時間が1/2以下になり、脱落根量は少なくなり、成苗率は向上する(表1)。
6. セルトレイを用いる本法は、クロ−ン植物間の根がらみを防止できる(図1図2)。
7. 使用したセルトレイは、10回の高圧蒸気滅菌(121℃、1.2気圧、15分間)を行った後も変形は認められず、耐久性に優れる(図3)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 有用個体の増殖に活用できる。
2. 培養時の発根には、個体間差がある。
3. 植物体の洗浄時間が短縮されることから、慣行法よりも培養コストを低減できる可能性がある。
4. 他の品目における発根培養技術に応用できる可能性がある。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: アスパラガスの発根培養技術
予算区分: 県単
研究期間: 2002年
研究担当者: 鈴木誉子、園田高広
発表論文等: なし