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肥効調節型肥料利用による水稲代かき同時土中点播栽培の全量基肥施肥法

[要約]
水稲代かき同時土中点播栽培における肥効調節型肥料を用いた全量基肥栽培は、施肥窒素量を慣行移植栽培と同量又は20%程度減じても倒伏の発生は軽微で、追肥栽培に比べ乾物重及び窒素吸収量が増加し、収量が向上する。
[キーワード]
  水稲、土中点播、肥効調節型肥料、全量基肥
[担当]青森農試・環境部
[連絡先]電話0172-52-4311、電子メールfumihito_seito@ags.pref.aomori.jp
[区分]東北農業・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
水稲代かき同時土中点播栽培は従来の散播直播栽培に比べ、株形成により耐倒伏性が高まる生育相を示し、収量向上が期待できる播種法である。そこで、本栽培法の特徴を活かし収量向上を図るため、肥効調節型肥料を利用した施肥法を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
 
1. 肥効調節型肥料としては、被覆尿素肥料LP-40とLP-70を同量混合した肥料か被覆尿素複合肥料(LP-70、50%)を使用する。
2. LP-40とLP-70を同量混合した肥料を施肥する場合は、窒素量を移植栽培の施肥基準量(青森県、以下同じ)から20%減じ、りん酸及びカリは移植栽培の基準量とし、いずれも全量基肥施用する。
被覆尿素複合肥料を施肥する場合は、窒素量を移植栽培の施肥基準量を全量基肥施用する(表1)。
3. 肥効調節型肥料を全量基肥施用することにより、従来の追肥栽培より幼穂形成期の窒素含有率が高まり、幼穂形成期、穂揃期及び成熟期の乾物重や窒素吸収量が多くなる。また、生育も旺盛でm2当たり籾数が多くなり増収する。
なお、倒伏の発生程度には差はない(表12)。
4. 肥効調節型肥料の窒素溶出率は、LP-40が幼穂形成期で77%、穂揃期では90%である。LP-70は幼穂形成期で59%、穂揃期では79%である(表3)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 本情報は水稲品種「ゆめあかり」を供試し、黒ボク土壌で行った結果によるものである。
2. LP-40及びLP-70の施肥にあたっては両者を十分に混合し、施肥むらを生じないようにする。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 土中点播直播の肥効調節型肥料による効率的施肥
予算区分: 国庫補助
研究期間: 1999〜2002年度
研究担当者: 清藤文仁、佐藤香緒里