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SDS抽出法による土壌可給態窒素量簡易推定法の黒ボク土地帯への適用

[要約]
1%SDS水溶液抽出法による可給態窒素の簡易推定法は、リン酸緩衝液抽出法よりも、岩手県の黒ボク土壌の可給態窒素簡易推定法として適当である。
[キーワード]
  可給態窒素,簡易推定法
[担当]岩手県農業研究センター・生産環境部・土壌作物栄養研究室
[連絡先]電話0197-68-4423、電子メールytakahashi@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
可給態窒素量の簡易評価法として広く利用されているリン酸緩衝液抽出法は、黒ボク土壌の多い岩手県の可給態窒素簡易推定法として適用できないことが明らかとなった。そこで、これに代わる可給態窒素量の簡易評価法として、平成10年に東北農業試験場より提案されたSDS抽出法の岩手県での適用について検討した。
[成果の内容・特徴]
 
1. リン酸緩衝液抽出法(図12)は、黒ボク土の多い岩手県の可給態窒素量簡易推定法として適用できない。
2. 1%SDS(SodiumDodecylsulfate:ドデシル硫酸ナトリウム)水溶液抽出による可給態窒素量の簡易推定法は、黒ボク土の多い岩手県の水田および畑土壌の可給態窒素量簡易推定法として適当である。(図34
3. 本法による抽出液の280nmの吸光度から、培養法による可給態窒素量を算出するための回帰式は、水田・畑土壌とも以下のとおりとする。
         y=15x (y:可給態窒素推定量(mg/100g),x:280nm吸光度)
[成果の活用面・留意点]
 
1. 1%SDSによる可給態窒素量の簡易推定は以下の手順で行った。
(1) 風乾細土10gを100ml三角フラスコに秤量し、1%SDS水溶液50mlを加える。振とうは行わない。
(2) アルミホイルで蓋をし、105℃の乾燥機に2時間静置する。
(3) 乾燥機より取り出した後、フラスコの温度が室温程度にさがるまで静置する。
(4) No.5Bのろ紙でろ過し、ろ液を5倍に希釈する。
(5) 希釈した液の280nmの吸光度を測定し、回帰式より可給態窒素推定量を算出する。
2. 風乾土壌にSDS水溶液を加えた際、振とうを行うと、腐植等の有機物により溶液の着色が増加し、可給態窒素量が過大に評価されるので、振とうは行わない。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 土壌中可給態窒素の簡易評価法の確立
予算区分: 県単
研究期間: 1997年〜2001年
研究担当者: 高橋良学、小野剛志、佐藤喬、島輝夫